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入れ替わった男の、ダンジョン挑戦記
誕生、前代未聞の冒険者
第九話
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「味も量も十分でござる。しかし…しかし某!米を食べたいのでござる!!」
「あー…」

ハヤテの嘆きに納得した。僕が生活する近辺は和洋折衷、割と色々な食事が出来る。しかし、この塔の辺りは完全に西洋風、和が全くないのだ。

純和人間のハヤテには辛い環境だろう。

「父が先んじて冒険者を退き、軟弱なと憤りもしたでござるが、今なら父が去った気持ちも分かる…!銀シャリと味噌汁の献立がこれ程恋しいとは…!」

悲嘆を隠さないハヤテだが、親子共々ダンジョンの方に足を向けるという選択を何故しないのか。

「某、極度の方向音痴で…、少し歩くだけで自分が何処に居るか分からなくなるでござる
…」

コレには言葉を返せなかった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「英司殿!美味、美味でござる!久々の米…、某の五臓六腑を癒しているでござる!!」
「落ち着いて。ご飯は逃げないから…」

ハヤテの嘆きを見るに見かねた僕はまたもや女将さんのお世話になり、ハヤテに久しぶりの和食を提供していた。目にうっすら涙を浮かばせながら、嬉しそうにハヤテは箸を運んでいる。

「英司殿、店主殿!この馳走の恩、ハヤテは絶対に忘れませぬ!」
「またおいで、泊まりに来たら用意してあげるよ!」

ハヤテが深々と頭を下げ、女将さんは照れ臭そうだ。僕も連れてきた甲斐があった。

お米の力かどうかは分からないが、ハヤテの雰囲気が変わった気がする。明るくなった感じだ。

方向音痴なハヤテの為に再び塔の受付まで戻ると、夕暮れになっていた。

「今日は本当に感謝するでござる!」
「ハヤテも明日からまた頑張ってね」

ハヤテと別れ、家路につく。別れ際に餞別と『御守り』を貰ったが、縁結びの御守りとは洒落が効いている。

その日の眠りは、とても気分の良いものだった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

後日、改めてリアさんにメンテナンスしてもらった武器でダンジョンを探索している僕は、そろそろ100階以降に挑戦しようと、リビングアーマーを殲滅したフロアを越え、巨大な扉の前に立っていた。

扉は侵入を拒むように閉ざされ、鍵穴もなく、力任せに開きそうもない。だが僕にはアーティファクトがある。

「壊せないなら溶かせば良いよね」

ホット・ペッパーの熱線で扉に人が通れるだけの風穴を開ける。扉の先には長く深い階段が。慎重に下っていき、階段が終わった先の通路抜けると、

「も…、『森』…!?しかも明るい…!日差しがあるのか!?」

眼前に広がるは緑豊かな森林地帯。あり得ないことに、ダンジョン内部なのにお日様が木々の隙間から見える。

異様な実態に退却を選択する。僕の独断で探索するのはリスクが高過ぎる、報告し、まとまった人数での方が確実と踵を返そうとしたそ
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