171部分:第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその八
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第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその八
「それでなのよ」
「匂いで、ですか」
「そうよ。美味しいものは匂いでわかるわ」
まさにそうだというのである。
「それでね」
「何か犬みたいなのだ」
張飛は孫尚香のその言葉を聞いてこう言った。
「とはいっても鈴々もそうだから人のことは言えないのだ」
「そうよね。鈴々ちゃんも匂いとかでわかるわよね」
「匂いは大事なのだ」
こう馬岱に帰す。
「それで味も大体わかるのだ」
「そういうものなのね」
「その通りなのだ。しかしこいつは」
「シャオのことよね」
「そうなのだ。直感で何かをするタイプなのだ」
「ええ、そうよ」
実際に本人もそうだというのであった。
「孫家は元々そういう血筋なのよ」
「天才肌の家系ってことか?」
「そうよ。お勉強なんてしなくてもいいのよ」
こう馬超にも返す。
「権姉様は少し違うけれどね」
「それでも学問は多少でも必要だろう」
関羽は真面目にこう述べた。
「鈴々も直感ばかりだが」
「それが悪いのだ?」
「直感に頼り過ぎるのもよくない」
まさにそうだというのだった。
「朱里を見ろ、直感だけではなく学問もだな」
「うむ、それも一理あるな」
趙雲は相変わらずラーメンのメンマを楽しそうに食べながら述べていた。
「やはりそうした知識も必要だ」
「シャオにはあまり関係ないけれど」
「孫家ってどういう家なのだ」
「そうよね。直感だけって」
「幾ら天才の系列でも」
「それでいいのよ」
こうキングや舞、香澄にも返す孫尚香だった。彼女は今はその髪飾りを見ていた。その黄金の五つの花びらの中央に青いサファイアがある髪飾りをだ。
そして街に出るとだ。あらためて街の賑やかさに気付いたのだった。
「何か凄いけれど」
「何かあるのでしょうか」
「ああ、実はな」
舞とナコルルにだ。街の男が応えてきた。
「今ここに一人凄い人が来てるんだよ」
「凄い人って?」
「誰、それ」
「それって」
「ああ、揚州の姫様でな」
こう一同に話してきた。
「二番目の姫様なんだよ」
「あれ、権姉様?」
孫尚香は二番目の姫と聞いてすぐにこう言った。
「その方が主催の催しを開くってことでな。この街で」
「あれ、権姉様がなの」
孫尚香はそれを聞いて今度はきょとんとした顔になった。
「策姉様じゃなくて」
「孫家は美人揃いだからね。皆その姫様を見ようって今から集まってるのよ」
「そうなんですか」
「今は」
「そうなんだよ。ただね」
しかしここで男は困った顔になって言った。
「何でも姫様を暗殺しようっていう奴もいるらしくてね」
「またなの?」
孫尚香の顔が今度は曇った。
「また暗殺なの」
「また?」
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