第五話
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「どうしてだ?」
木曾は首を傾げて聞いてきた。何だこの娘。可愛いとこあんじゃねぇかよ。
「だって一人称俺だし、口調も男っぽかったからさ。スカート履いてなきゃ勘違いしたかもな。」
「何だよ、女がこんな口調で話しちゃ悪いってのか?」
木曾はかなり声色を低くして、凄みながら話してきた。しまった、これ地雷か。
「いやいや、全くそんなことは思わないね。むしろそんな人が増えてもいいんじゃねぇかな。」
俺は御世辞四割、本気六割でそう言った。それがどう伝わったかは分からないが、木曾は
「そうか、ありがとな。」
そう言って引き下がってくれた。いい娘だ。
「そうだ。お前に聞きたいことがあったんだ。」
「俺に?」
「そりゃ、お前以外だったら逆におかしいだろ。」
それもそうだが、そう以外どう返せというんだ。そんな俺に構わずに、木曾は続ける。
「お前、大淀さんから聞いたけど、もうここで働くって決めたらしいな。」
「まぁ、そうだけど。」
「なんでだ?」
「?」
「何でお前はそんなに早く結論を出せたんだ?」
あぁ、そういう事。と、俺は一人で納得した。確かに、木曾の疑問ももっともだ。
提督によれば、そこでかなり悩みまくる艦娘も居るらしい。結局、そこで悩んだ艦娘達がどのような判断をしたかは分からないが、それでも俺はそれなりには、と言うかかなり早いらしい。
「んで、提督にした誤魔化しは無しな。」
「え、」
「当たり前だ。お前みたいに宗教とかに無頓着そうな奴が必然とかなんとか言ったところで信じるかよ。」
酷い言われようだが、確かにそうだった。
俺はあの時、『本当の理由』が恥ずかしくって言えなかったのだ。
そう、言えるはずもない。
この目の前の女の子の覚悟に惚れたからだなんて。
『確かに俺達は兵器だ。人間じゃない。あいつらと戦わないといけない。そういう宿命だ。だけど、俺達はいつか安心して海と暮らせるようになる日を目指して戦ってる。それも、俺達艦娘の宿命だ。』
この時の木曾の目。
目指している物を叶えようと言う覚悟の見えた目。
それに―――惚れたのだ。
だがそれを他人に、しかも張本人に言えるはずもない。
従って少しの間、それっぽいことを考えてた。
「そうだな……正直、俺はこう思った訳だ。」
「ほう、どう言う風に?」
「こんな命懸けの戦い、女の子だけにさせてなるものかってね。」
「………………………………………………………………………………………。」
ヤバイ、めちゃくちゃ疑ってる
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