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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
169部分:第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその六
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第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその六

「おかしいって。賊にしても山越の勢力圏にいる筈がないって」
「孫堅殿の敵ではないのか?」
 ここでやっと城に入られた。その中で趙雲が述べた。
「あの方も朝廷の宦官達とは仲が悪かったのではないのか?」
「けれどよ。あの連中でも山越の勢力圏まで来ないだろ」
 馬超がそれはどうかと言ってきた。
「どうせならそこで補給減らさせるとかそういう嫌がらせして死なせるだろ」
「それもそうか」
「だよな。嫌がらせでな」
「じゃあ何なのでしょうか」
 孔明も首を捻るばかりだった。
「その石弓の主は」
「それで今は孫策姉様が牧なのよ」
 孫尚香はこう話す。
「跡を継いでね」
「そうなのか」
「そうよ。それでお金だけれど」
「ああ、御前ないのだったな」
「そうよ」
 ここでもまた偉そうに張飛に応える。
「わかったわね、おチビその二」
「御前に言われたくないのだ、おチビは朱里なのだ」
「あの、鈴々ちゃん」
 だがここでその孔明が苦笑いをして張飛に言ってきた。
「今その二って言われましたけれど」
「それがどうしたのだ?」
「その場合私が一で鈴々ちゃんがその二ですけれど」
「こいつもチビなのだ」
「私はいいのよ」
 孫尚香はここで強引に言い切る。
「私はね。それにお金がないのはね」
「それはどうしてだ?」
「これ買ったのよ」
 その金の眩く輝く小さな髪飾りを見せての言葉だ。見ればそれは小さな花を模したものだった。
「これをね」
「ひょっとしてそれにお金全部使ったのか?」
「何考えてるのよ」
 馬超だけでなく馬岱も呆れた顔になる。
「本当に我儘過ぎるっていうかよ」
「今それにお金使って何になるのよ」
「お金なんて全然気にすることないじゃない」
 天真爛漫ですらある言葉だった。
「そうでしょ?別に」
「いや、それは違うぞ」
「そうよ」
 馬超と馬岱はすぐに反論する。
「幾ら何でもな」
「家出して旅してるんなら」
「お金なんてどうにもなるものじゃない」
 やはり孫尚香はわかっていなかった。あっけらかんとした顔をしていることにそのことがこのうえなくはっきりと出てしまっていた。自覚はないがだ。
「そうでしょ?幾らでも」
「孫家ってどういう生活をしているのだ?」
「名門ではありますけれど」
 関羽も孔明も流石に呆れていた。
「それでも。ここまで甘やかしてな」
「大丈夫なのでしょうか」
「甘やかされてはいないわよ」
 それはすぐに否定する孫尚香だった。
「全然ね。婆や達が五月蝿いもの」
「その張昭殿達だな」
「もう忠義一徹でしかも頭もいいし」
 そういう人材もいるらしい。趙雲に応えて自分で言うのだった。
「もうね。大変なのよ」
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