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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの夜
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「嫌だと言っても償ってもらうとあなたが言ったのですよ。仕方ないからついていきます」

 素直ではないけど、同意の言葉。それを聞いて明るい声を出したのはジャックだった。

「よし、それじゃあこれで本当に事件解決だね! 最後まで何が起こるかわかったもんじゃないからひやひやしてたけど、なんだかんだ弟子が無事で終わってよかったよ。もう一度言うけどおめでとう、ジェム」
「あ、さっきはせっかく褒めてくれたのに遮っちゃってごめんなさい……」
「いいんだよ、それが君の美徳だ」

 ジェムの頭を撫でるジャック。今度はそれを中断して言いたいことはジェムにはない。他の人が見ている前なので照れくささはあるが、素直に撫でてもらう。

「……ふぅん、まるでコンテストの演技でも終えた子供相手への言葉みたいだね」

 それにダイバは普段の皮肉とはちょっと違った含みのある言い方をする。ジャックはにっこり笑っただけで何も言わなかった。ジェムは気づかず、顔を綻ばせる。

「解決したってことは、これからはアルカさんやドラコさんも一緒にバトルフロンティアを回れるのね!」
「……なんですか、わたし達二人と過ごしたかったんですか?」
「あのね、私今までずっとおくりび山にいて……あそこってお墓参りをするところだから年の近い子ってほとんど来なくて、女の子の友達がいなかったの」
「男の友達は……ああ、そこにいましたね。子供かどうか知りませんが」
「僕は何千年生きようと心は子供だよ?」
「なるほど、お前が浮世離れしているはずだな。……まあ、その辺の話は風呂に入りながらすればいいだろう」

 シンボルを四つ以上集めたもののみが入れる宿が見える。あまり大きくはないが、木造でおごそかな建物からはどこか遠くの地方を思い出させる雅さがあった。ダイバが先に中へ入り、一緒に泊まる人間の申請をしてくれる。五分ほど待つと、中に入ってもいいと言われた。まずは温泉で疲れを落とそうということになり、男女別れて温泉に行くことにする。ダイバがジャックにジェムの過去を聞こうとしているらしいので一応釘を刺すジェム。

「えっと……じゃあジャックさん、あんまり恥ずかしいことは話しちゃダメよ?」
「合点承知。ついでに覗いたりしないかどうかも見張っとくよ」
「……誰が覗くか」

 ダイバがむすっとする。ジェムとしてもダイバに限ってそれはないと思っているので軽く笑ってアルカとドラコに続いて紅い暖簾を潜っていった。 

「誰かと一緒にお風呂に入るなんてすっごく久しぶり……お母様あんまり一緒にお風呂入るの好きじゃなかったから」
「私は慣れているぞ。うちには銭湯があるからな」
「わたしは……記憶する限り同性と入るのは初めてですかね多分」


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