子供たちの夜
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えられなかったのです?」
「それも見ればわかることだ。こいつらが警察の類に見えるか?」
アルカがジェムとダイバ、ジャックを見る。ここにいるのは少なくとも外見は子供だけだ。大人はいない。
「じゃあアマノは……本当に、全ての罪を被ったのですね」
「アルカさんは、その……アマノさんの計画が失敗したことを知ってるの?」
「当然だ、私がチルタリスの上に乗せるときに一度起こしたからな、アマノが落ちてきたのもこいつ自身が見ている」
「じゃあそのあとまた寝たの?」
ダイバとジェムがアルカを見る。アルカは沈痛な面持ちで声を出さなかった。代わりにドラコが説明する。
「お前達はアマノの取り柄を忘れたのか? ……眠らせたんだよ、アルカが自分も罪を被ると聞かなかったからな」
「……あの人は、言いました」
――お前も罪を被るだと? 馬鹿を言うな、これを計画したのは私だ!
――自分の意志? お前にそんなものはない、私が催眠術でそう考えるようマインドコントロールしていたにすぎん!
――計画への貢献? チャンピオンもその娘の足止めも出来なかった分際で何を言う! お前など何の役にも立たなかった! ドラコもだ! お前達のような役立たずを計画の駒にした私の人選ミスだ!
アルカはドラゴンの上でのアマノとの会話を諳んじる。アルカの意思を軽んじる心無い言葉、彼がバトルタワー頂上でしていたのと変わらない喚き散らすような醜い言葉だった。
「だからあの人は全部自分のせいなんだって……降りたらお前は何も言うなって命令して……でもわたしは何とか命令に逆らおうとしたから……」
「あいつは『催眠術』でアルカを眠らせた、というわけだ。心無い言葉で今生の別れを迎え、アルカに恨まれることになったとしてもな」
「……そう、なんだ」
でもそれはきっとアルカのため。少なくともジェムにはそうとしか思えない。
「アルカさんは……どう思ってる?」
「やっぱり最後まであの人は……わたしの気持ちなんて考えてくれませんでしたね。自分勝手で無謀で……酷い人です」
アルカは潤んだ瞳から涙を静かに零して言う。罵倒する言葉は、最初にジェムが聞いた時と同じで愛想を尽かしきってはいなかった。寝かされていた体を起こして、涙を拭って誓う。
「だから、わたしはあの男を許しません。もしまたのこのことわたしの前に現れたら……その顔引っ叩いて、蔓で締め上げてやります」
「うん……きっと、それでいいと思うよ」
アマノはいつか会いに来ると言っていた。ならばそれは恐らく叶うはずだ。その時もう一度、新しく関係を作ることが出来ればいい。
「あのねアルカさん、私達今から温泉宿に行くの、一緒に来て……くれるよね?」
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