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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの夜
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なこと絶対したくなかった! 本当よ、そうよねダイバ君!」
「え……ああ、うん。間違いなくそう言ってた」

 嘘を嘘で塗り固めるようなジェムの言葉。でもアルカがそう口にしたこと自体は事実だ。でなければ咄嗟にこんなセリフを考えられるほどジェムはアルカを理解できていない。裏の裏は表。アルカの嘘を、ジェムは自分の嘘のために利用した。それがアマノとアルカにとって残酷な言葉だったとしてもだ。アマノは切りつけられたように俯いた後、言葉を零す。

「……すまない。私のことはどう思ってくれてもいい。ただ……アルカを頼む」
「あなたの事は許せないけど……でも、いつかアルカさんに会いに来てあげてね」
「ああ……」

 アマノはチルタリスの方へよろよろと歩み寄り、羽毛に包まれるアルカの顔を見る。アルカは瞼を濡らしながらもぐっすりと眠っていた。何を思ってそうしているのかは当のアマノ以外には誰にもわからなかった。決して本心を口に出すことは出来ないから。ただ、きっとアルカのためにあんなことを言った……ジェムはそう思うことにした。

「なら決まりだな。罪人はアマノの野郎一人だけだ。――連れていけ」

 エメラルドが待機させていた警備員らしき男達がアマノに手錠をかけて連れていく。アマノはもう抵抗することなく何処かへ向かっていった。恐らく警察のところへ連行されるのだろう。後は法律による裁きが下されるはずだ、子供のジェムにどうこうできる問題ではない。

「……疲れただろうジェム。もう日も暮れるしポケモン達も疲れただろうから休んだ方がいい」

 何も口出しせず見ていたサファイアがそう声をかける。ジェムは頷いてからドラコに言う。

「ドラコさん、今から私達温泉宿に行くんだけどドラコさんも来てくれるかしら?アルカさんも一緒に……皆で話がしたいから」
「さっきはそこのオーナーに邪魔されたが、異論はない。このフロンティアにいる間は付き合ってやろう。私もお前達に借りがある立場だ」
「……ありがとう」

 ドラコはふっと息を吐き、口元可愛いとか美しいよりもカッコいいという言葉が似合う笑みを浮かべる。ジェムはそれを少し羨ましく思いつつもあどけなさのある表情で微笑んだ。

「それとね、あと一人までは入っていいらしいから……ジャックさん、良かったら来てくれないかしら?」
「僕かい? いいけど、子供たちの夜に水を差さないかな?」

 ジャックがきょとんとした表情で応える。するとダイバがジャックの方に近づいてジェムには聞こえないように呟いた。それを聞いたジャックが、テレビに出てくる妖しい妖怪のようににやりと表情を歪めた。

「ダイバ君、どうしたの?」
「もう恥ずかしがり屋だなー。ジェムがフロンティアに来るまではどんなふう
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