子供たちの夜
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心の毒は消えていない。それを癒すのは時間がかかる、だから一緒にいる必要があった。
「ううん、私一人じゃ無理よ。私に頼むならドラコさんも、一緒にいてくれる?」
「そうだな、私は――」
「おおっと、それはお前らに決めさせるわけにはいかねぇな!」
答えるドラコに割り込むエメラルド。彼はフライゴンに落とされ膝をつくアマノの方へ歩き、見下す。
「本来ならお前らは三人纏めて犯罪者だ。だが今回の場合こいつの催眠術がある以上話が違ってくる。アマノは有罪確定だがお前ら女二人には事情酌量の余地があるってわけだ。というかドラコの方は状況的に無理やり支配されてたことが明白だから実質議論の余地があるのはアルカだけだな」
「ふん、その為にアマノの証言を信じるのか?」
「催眠術をかけた当の本人だからな。さあ心して答えろよ? 催眠術師、お前はアルカをどこまで支配してた?」
「貴様……!」
天から放り出されしばらくは落ちていたのか、息は荒く遠めから見ても体は震えていた。エメラルドを睨んでいたが、もはや反逆の手段はないと悟ったのか息を吐いて語った。
「……アルカもドラコ同様催眠術によって強制的に支配していた私の忠実な操り人形だった。この事件にはこいつらの意思ではない。……全て私のせいだ」
ジェムははっと息を呑んだ。ジェムはアルカの夢を覗き見ている。その中でのアマノは、アルカに対して催眠術によっていくつか行動に制限は課していたけれども。それでも心を無理やり支配するようなことは――していなかったはずだ。
「さぁて、首謀者様はこう言っているがどうなんだジェム・クオール? 直接戦った相手だ。あいつらに自分の意志があったかどうかは一番正直に言えるのはお前のはずだぜ? ダイバはその辺の判断は苦手だろうしな、お前の証言が全てだ」
「……」
少し黙り、ジェムはアマノを見た。自分の心を弄び操ろうとしたひどい男の人。だけどジェムを見るその目は弱く、それでいて無言で何かを懇願するようだった。
「うん……ドラコさんもアルカさんもこの人に無理やり言うことを聞かせられてたわ」
「本当か? 嘘だったらお前も罪人扱いになるかもしれないぜ? 悪人を庇った偽証罪ってやつでな」
エメラルドはにやにや笑いながらジェムを見る。なんだかすべてを知っていて反応を楽しんでいるように見えたのは気のせいか否か。それに弾かれるようにジェムは断言した。
「絶対間違いないわ! だってアルカさんは言ったもの。『誰も私を愛してくれなかったから、死にたくないからわたしは仕方なくこんなことを……! わたしだって、本当はこんなことしたくないです……!』って! だからアマノさんはアルカさんの事庇ってるわけじゃないしアルカさんはこん
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