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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの夜
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 この気持ちは嘘じゃないと言い切れる。。二人は本当に自分を褒めてくれている。でも……何かが、ずれているように感じた。例えるなら覚めたら全てが泡沫に消えそうな虚無感。抱きしめるジャックから離れ、ネフィリムから離れたダイバの背をバンバン叩いて褒めているエメラルドを見る。

「でもね……私は今聞きたいことがあるの、エメラルドさんに」
「……あん? 俺に? なんだよ、せっかく家族水入らずで話してんだから素直に勝利の余韻に浸ったらどうだ?」
「いや……僕からもパパに確認したいことがある」

 ダイバも叩かれた背中をさすりながらエメラルドを見る。その場の全員の視線が、二人の子供に注がれた。

「アマノさんはどうなったの?」
「……アルカとドラコはこの後どうなる?」
「……はっ、自分たちへの褒め言葉よりバトルフロンティアを脅かした罪人が気になるってか? そんなもん俺様の知ったこっちゃねえよ」
「そんな! じゃあ本当にアマノさんは……落ちて死んじゃったの?」

 無情なエメラルドの言葉に戦慄するジェム。しかしダイバは周りを確認した後首を振った。

「いや……それなら少なくとも大量の血がこの辺にあるはずだ。死体を片付けることくらいなら可能だろうけどこの五分そこらじゃ血は綺麗に出来ないはず。だからあいつはまだ生きてるよ」
「御明察……上を見な」

 二人の疑問は別だったが、大体意図は同じだった。エメラルドはもったいつけるように上を指さした。ジェム釣られて見上げると上空には、フライゴンとチルタリスがいた。それはエメラルドの様子に気付いて降りてくる。近づいてくるにつれジェムとダイバにはフライゴンの上に人間が乗っていることに気付く。ぐったりした様子のアマノがフライゴンに乗せられており、アルカとドラコはチルタリスに乗っていた。チルタリスが地面に降り、ドラコは毅然とした態度でジェムの正面に立つ。アルカはまだ眠っているようでチルタリスが羽毛布団のようにその体を包んでいた。

「ドラコさん! アマノさんを助けてくれたの?」
「命令されていたわけでもなし助けるつもりなどなかったが……お前達の助力に向かおうとこいつらで上を目指していたらこいつが落ちてきてな。見殺しにするのはいくら何でも目覚めが悪いから拾ってやった。ついでにアルカもな。……ジェム、お前は私の頼みを成し遂げたんだな?」
「うん、危なかったけど何とか止めて……これから仲良くなれればいいなって」
「そうか、ならば礼を言おう。お前がいれば、こいつは……悪夢のような人生から解き放たれるはずだ」

 アルカを止めてやってほしいという願いは、ダイバの鉄拳とジェムの優しさで叶えた。とはいえまだ彼女の人やポケモンを平然と殺し、自分を卑しい人間だと卑下する
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