子供たちの夜
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に向かったって。僕も助けに行こうかと思ったけどでもバトルタワー自体の入り口が封鎖されててどうしようもなかったんだ。二人の実力は信用してるから、任せようってことになったんだよ」
「……そう」
「バトルフロンティアは君とジェムのお父さん、二人が作り上げたこれからのバトルを面白くするための総合機関だ。正直それが乗っ取られでもしたら困るから不安だったんだけど……さすが彼らの血を引く子供たちだ。見事だったよ」
ジャックはまたしても褒める。ジェムにしたのと同じように褒めちぎる。ダイバはその賞賛には答えず質問を続ける。
「最後にグランパの研究のために聞きたいんだけど……フーパってどんな伝説ポケモンだっけ?」
「ええと……特徴的なのはあらゆるものを空間移動させる能力だね。他の地方にパッと行くのに便利だよ」
「一回会ってみたいんだけど、今ここに呼べる?」
「随分フーパに興味があるんだね。おーい! フーパー出ておいで―!! 出ないと目玉をほじくるよー!?」
ジャックが浴場に響く声で伝説ポケモンを呼ぶ。するとあっさりとジャックの頭上に金色の輪っかが出現し、異次元を通ってフーパが出現した。そのまま落ちて温泉にダイブする。
「あ〜い」
「どうかな? こんなに小さくても伝説のポケモンらしい力があるでしょ」
「うん……ありがとう、最後にもう一つだけいいかな」
「いいよいいよ、何でも聞いて?」
フーパを自慢げに見せるジャック。その声は玩具を自慢する子供のようだ。でもダイバはジャックを睨んで聞く。
「その能力、なんでバトルタワーに入るのに使わなかった?」
ジャックが、あどけない子供の表情から老獪な仙人のようなダイバの知るどの人間も浮かべたこともない笑顔になる。それが何よりの答えだった。
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