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魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜風雪の忍と光の戦士〜
第十一話 熱戦 ―エキサイト―
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らだ。当然後で小言を言われるであろうが、彼女の場合それも自分たちなりのスキンシップ、などと考えていそうだ。

 シュテルはそんな思考と並行しつつ、自分の務めを考えていた。紗那の分身に纏わりつかれている状態ではあるが、彼女はロケテストで全国一位となった実績を持つデュエリスト。今までに闘ってきたデュエリストの中には紗那よりも速く、残像を残して高速移動する者もいた。その者にも勝ち越している経験があるのだから、どうすれば効率よく対応できるかということも理解している。

 しかし、シュテルは強者であると同時に先導者でもある。デュエルに負けたくはないが勝ち負けだけではなく、対戦相手に楽しんでもらうこと。そして実力のすべてをぶつけてもらうことが務めだ。故に、ただ勝利だけを求めた戦いをするつもりはなかった。

「……あれを使ってみますか」

 シュテルの口元にかすかに笑みが浮かぶ。そして自身の中に浮かんだ案を実行するために、デバイスを使った槍術と体術を駆使して紗那の分身を潰していく。しばらく分身を消し続けるが、本体は見つからない。だがシュテルはそれまでの状況を踏まえ、冷静に観察と分析を行っていた。

(これだけ分身を潰して一度も本体を引かないとなれば、近距離に攻めてくる素振りを見せているのはおそらくすべて分身の偽物。……となれば、本体はむしろ“遠方で遠巻きに見ている姿”のはず)

 無論それがフェイントという可能性もなくはないが、ここまで何もないとなれば確率は低い。たとえ更なる手があるとしても、それは今ではなく先にあるのだろう。逆境に立たされることになろうとも、それすらも楽しめてこその強者。その信念のもとに疑念を抱きつつも相手の策に乗ろうと考えたシュテルは、分身を消しつつ遠くにいる紗那を注視する。

(……そこですか)

 そして無数にいる紗那の一体と、明らかに“目が合った。”紗那は発見されたと身を強張らせるが、その時には接近しつつシュテルがスキルカードをロードしていた。自身のデバイスを、肩の高さで限界まで引き絞るように構える。灼熱の炎が渦を巻き、杖の先端部に凝縮されていく。

「それは……!?」

「さすが、よくご存知です」

 そう言いながらシュテルは一気に身体を連動させるようにを回転させてデバイスを撃ち出す。それはまさに、真紅の業火を纏った一閃。

 ショウの愛用するスキル、“ブレイズストライク”。本来はフェンサータイプが使用する近接用のスキルだが、分類で行けば突き技。シュテルは槍術にも長けており、かつデバイスにカードが適応していたので相応の威力で使うことができるのだ。

「くっ……!」

 気づかれたことを察していた紗那はリンクの刀身で受け流すが、勢いを殺しきることは当然できず、撃ち込まれた方向にビルをいくつも
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