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SAO−銀ノ月−
想起
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クーポンが当たったところで何よりだ」

 《オーディナル・スケール》のランキングが上がったボーナスとして、自販機の無料クーポンが《オーグマー》による視界に表示される。他のプレイヤーにも手で挨拶しながら、もう一度ノーチラスがいないか見回るついでに自販機を探すと、戦闘ステージすぐ向こうという計算されたかのような位置に発見する。

「何がいい?」

「じゃあ……紅茶。ストレートの」

「はいよ」

 自分の分の緑茶とともに、シノンにリクエストされた紅茶を手渡して。まだ5月とはいえ夜にしてはなかなかの陽気に、冷たい飲み物が身体の中に染み込んでいく。

「ノーチラスって奴、いなかったみたいだけど……SAO生還者の記憶を奪っているのだとしたら、何が目的なのかしら? SAOへの復讐?」

「いや……SAOへの復讐というより……」

 あいつはもっと、違う何かを目指しているような気がする――という推論を口にするより早く、シノンの背後にある人物を見かけていた。

「どうしたの?」

 シノンもこちらの視線が自身の背後に向けられていることに気づいたのか、紅茶を飲みながら振り向いたが、既にそこには何もいなかった――いや、シノンが振り向く一瞬前までには、すぐそこにいたはずなのに。

「アレは……」

 白いフードを被った儚げな少女。先日、アスナとのボス戦の帰りで見かけたものの、すぐに消えてしまった幽霊のような少女。先日は後ろ姿しか見ることが出来なかったが、今回はフードの下の横顔を見ることが出来た。

 ――そして、つい本日に違和感を感じたばかりの、浮遊城第二十五層の景色と白い少女が合致する。お互いに感じていた既視感と違和感が、まるでパズルのピースのように合致していき、脳内で記憶が自動的に連想される。二十五層のステージをいつか共に見た少女と、かつて目の前にいた白い少女の姿が一致していく。

 あの白い少女は、二十五層のステージで話していた少女は――

「……《ユナ》……?」


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