想起
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なビル群に囲まれた広場の中央には、巨大なヤドカリ型のボスモンスターが鎮座していた。SAO第十二層ボス《ザ・ストリクト・ハーミット》と名前が表示され、横にいたシノンがGGOの際に使っていたヘカートに似た狙撃銃を構えた。
目当てのノーチラスがいなかったとはいえ、またいつかのように途中から参戦してくることも考えられる。またどちらにせよ、ノーチラスと戦うためにオーディナル・スケールのランキングを上げるのは必須だと、俺も油断なく日本刀《銀ノ月》に変化した端末を強く握り締めていた。
「定石通りにいくわよ!」
そんなシノンの言葉通りに、まずは銃持ちプレイヤーによる一斉射撃がストリクト・ハーミットを襲う。弱点を正確に狙い撃つ必要があるこのオーディナル・スケールにおいて、その射撃は大したダメージにならないものの、最初から狙いは威嚇ついでの牽制だ。それでもストリクト・ハーミットは自らの肉体を甲羅の中に隠すと、銃弾を全て堅牢な甲羅で防いでみせた。
いや、ただ防いだだけではなく。甲羅に入ったまま回転し始めたストリクト・ハーミットは、そのままこちらに向かって体当たりを敢行してきた。
「に……逃げろ!」
誰かが言ったその言葉に全員が言われずとも従い、スピンしながら体当たりしてくるボスから一目散に撤退した。巻き込まれるだけでひとたまりもないと確信できたが、終わったあとは隙が出来るはずだと近づいていく。
「そこだ!」
幾人かの逃げ遅れたプレイヤーを巻き込みながら、ボスが回転を止めながら立ち止まった。そこで甲羅から姿を現すタイミングに合わせて、日本刀《銀ノ月》の突きが炸裂する――が、先に甲羅から出された堅牢な鋏によって弾かれてしまう。
「っ!」
ボスもこちらが膠着した隙を逃すことはなく、もう一本の鋏ですぐさま俺を狙うが、今度は弾かれてしまうのはあちらの番だった。正確には、シノンが狙撃によって無理やり鋏の軌道を逸らしたというのが正しいか。
「せやっ!」
シノンの援護に感謝しながら、一跳びで露出した本体に近づくと、手痛い斬撃をボスに喰らわせた。ボスも苦しみから暴れだすものの、巻き込まれないようすぐに逃げだしていく。
「よ! 絶好調だな!」
「どうも」
「でも……うおっと!」
逃げだした先にいたのは、虎頭のプレイヤーことネコ大佐。回転しながらの体当たりでこちらを追撃してきたボスを避けながら、肩に担いだバズーカの使いどころを探っているようだったが、思うように放つことは出来ずにいた。
「あの栗色の髪の子はいないのか? あの子なら、いい感じの作戦考えてくれそうなもんだけど!」
「いや……今日は欠席、だ!」
「ユナちゃんもいねぇしハズレだなオイ!」
当然、事情を知らない
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