想起
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れが、リズを苦しませる
ことになろうとも。
「あんなクソゲーの記憶がなんだ。お前が忘れて苦しいなら、俺だって何だろうと忘れてやる!」
「――ショウキ!」
SAOで俺たちが過ごした日々を思い出せなくて苦しいのなら、俺だってSAOの記憶など何も惜しくはない。そんな心中をリズの前で発露しながら、彼女の表情を見ないようにしつつリズの制止を振り切り、俺は店から出て行って街頭に紛れ込んた。
二号店が設えられたこの第二十五層《ギルドシュタイン》は、かつてはSAOのクォーターポイントだっただけあって、NPCも含めてかなりの大都市だ。背後から聞こえてくるリズの声を聞こえないようにしながら、周りを気にするだけの余裕がないリズを撒くのは容易いことだった。
「ふぅ……」
そうしてリズ独特の気配が去ったところで、俺は一息ついて立ち止まった。どこか近くの宿でログアウトするかと、あまり来たことのないこの街を見渡すと。円型の広場の中央には小さなステージがあり、NPCの楽団が弦楽器でBGMを奏でているようだった。
「ん……?」
いつもなら何とはなしに通り過ぎる場所だったが、どうしてか俺は立ち止まっていた。どこかその風景に既視感を感じたのか、広場の中に入って心が指し示す場所に歩いていく。
「ここは……」
もう二年以上も前のことだろうけれど。確かに自分は、この場所に立っていたことがあった。景色は多少は変わっているものの面影があり、かつての記憶をどうにかして思い返そうとして。
「ここで、誰かと話してた……?」
……それ以上のことは思い出せなかった。ただ、この景色を眺めていたのは俺だけではなく、もう一人いたはずだった。もしかすると、ノーチラスが語っていた、俺が殺したという《ユナ》というプレイヤーについての記憶……?
「……ショウキ?」
「あ……ああ、キリトか。アスナは?」
そこで思考が打ち切られるかのように声がかけられ、まさかリズに見つかってしまったかと身を固めるが、そこに立っていたのはキリトだった。アスナの記憶を取り戻すべく、ユイと三人で浮遊城を回っていた筈だったが、そこにはアスナの姿が見当たらなかった。
「ああ……ここって昔、血盟騎士団の本部だっただろ? 一人で行きたいって」
言われてみれば、設立してすぐの血盟騎士団はこの層に本部を置いていて、かつての自分もアイテムを卸しに行った覚えもある。それと同時にキリトとアスナがコンビを解消していた時期であり、確かにアスナが一人で赴くべきだろう。
そして一人で赴いているということは、アスナの記憶はまだ取り戻されていないということだ。
「なあ、ショウキ」
キリトから問いかけられる。その揺るぎない眼差しには怒りの感情が秘
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