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SAO−銀ノ月−
想起
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「昨日……」

 スリーピング・ナイツたちとの一件の際に、新アインクラッド第二十六層に設えられた、リズベット武具店の二号店の店内にて。客が入って来れないような設定にしながら、俺はうつむくルクスと二人きりで相対していた。

 昨日、俺がレインの家に行った後、彼女たちに一体何があったのかを。

「ショウキさんがいなくなった後、すぐにキリトさんを呼んだんだ。でも……キリトさんが来る前に、ランダムイベントとしてボス戦が始まってしまった。そこには、あのノーチラスって人もいたんだ」

 《オーディナル・スケール》のボス戦と、ノーチラスが現れるのは午後9時。無意識にそう思っていた俺たちは、突如として始まったというボス戦に対応出来なかった。もちろんそのランダムイベントに登場したボスは、フロアボスではないもののSAOのボスではあった。そしてアスナたちはノーチラスに怯むことなく、ボス戦に参加しながらもノーチラスを問い詰めた。

「だけど全く答えてくれなくて……そこで一歩近づいたシリカを、ノーチラスがボスの方に弾き飛ばしたんだ」

 とても人間だとは思えないノーチラスの力を思い返し、確かにシリカ程度の重さなら、軽く弾き飛ばすことが出来るだろう。そして恐らく問い詰められたから弾き飛ばしたのではなく、ボスの前に弾き飛ばすという方が重要だったのだろう、ボスは当然ながら無防備なシリカを狙った。

「そこでアスナさんがシリカを庇って……倒れてしまったんだ」

「…………」

 リズと同じく、オーディナル・スケール中の謎の失神。それからアスナの介抱にルクスたちがボス戦から離脱すると、ノーチラスは既にどこにもいなかったという。それからバイクを走らせ到着したキリトが、即座にアスナを病院に連れて行くと――

「……アスナも、リズやレインと同じ……」

「ごめん……」

 ――その身に起きていたことは、先の二人と同じような記憶障害。原因は脳の記憶領域に強制的なスキャンが加えられた結果、そのスキャンが負荷となった一時的な記憶障害、とのことだったが……そんなことは、門外漢の上にどうでもよかった。問題は、その症状がどうすれば改善するのか、どうすれば悪化しないのか……だったが、そう簡単に判明したりはしなかった。とにかく症状に前例がない為に、いつ回復するのかもさらに記憶をなくしてしまうかも、全く分からない状態とのことで。

「……リズのことは私たちも心配だなんて、大口叩いておいて……」

「いや……」

 ルクスの消え入りそうな謝罪を聞きながら、何を否定しているのかも分からずに首を振る。ルクスにシリカたちのせいじゃないなんて、優しい言葉をかける余裕はこちらにもないし、彼女たちもそれは望んでいないだろう。

「あとは任せて、ルクスはシリカの方に行っ
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