想起
[1/9]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「昨日……」
スリーピング・ナイツたちとの一件の際に、新アインクラッド第二十六層に設えられた、リズベット武具店の二号店の店内にて。客が入って来れないような設定にしながら、俺はうつむくルクスと二人きりで相対していた。
昨日、俺がレインの家に行った後、彼女たちに一体何があったのかを。
「ショウキさんがいなくなった後、すぐにキリトさんを呼んだんだ。でも……キリトさんが来る前に、ランダムイベントとしてボス戦が始まってしまった。そこには、あのノーチラスって人もいたんだ」
《オーディナル・スケール》のボス戦と、ノーチラスが現れるのは午後9時。無意識にそう思っていた俺たちは、突如として始まったというボス戦に対応出来なかった。もちろんそのランダムイベントに登場したボスは、フロアボスではないもののSAOのボスではあった。そしてアスナたちはノーチラスに怯むことなく、ボス戦に参加しながらもノーチラスを問い詰めた。
「だけど全く答えてくれなくて……そこで一歩近づいたシリカを、ノーチラスがボスの方に弾き飛ばしたんだ」
とても人間だとは思えないノーチラスの力を思い返し、確かにシリカ程度の重さなら、軽く弾き飛ばすことが出来るだろう。そして恐らく問い詰められたから弾き飛ばしたのではなく、ボスの前に弾き飛ばすという方が重要だったのだろう、ボスは当然ながら無防備なシリカを狙った。
「そこでアスナさんがシリカを庇って……倒れてしまったんだ」
「…………」
リズと同じく、オーディナル・スケール中の謎の失神。それからアスナの介抱にルクスたちがボス戦から離脱すると、ノーチラスは既にどこにもいなかったという。それからバイクを走らせ到着したキリトが、即座にアスナを病院に連れて行くと――
「……アスナも、リズやレインと同じ……」
「ごめん……」
――その身に起きていたことは、先の二人と同じような記憶障害。原因は脳の記憶領域に強制的なスキャンが加えられた結果、そのスキャンが負荷となった一時的な記憶障害、とのことだったが……そんなことは、門外漢の上にどうでもよかった。問題は、その症状がどうすれば改善するのか、どうすれば悪化しないのか……だったが、そう簡単に判明したりはしなかった。とにかく症状に前例がない為に、いつ回復するのかもさらに記憶をなくしてしまうかも、全く分からない状態とのことで。
「……リズのことは私たちも心配だなんて、大口叩いておいて……」
「いや……」
ルクスの消え入りそうな謝罪を聞きながら、何を否定しているのかも分からずに首を振る。ルクスにシリカたちのせいじゃないなんて、優しい言葉をかける余裕はこちらにもないし、彼女たちもそれは望んでいないだろう。
「あとは任せて、ルクスはシリカの方に行っ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ