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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第168話 蒼穹が落ちる
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オンとは言え、相手は這い寄る混沌。彼女の能力でアルザス侯爵の動向を探ろうにも、奴に邪魔されると流石に分からない可能性が高い。
 タバサの答えも(むべ)なるかな、と言うトコロか。そう納得する俺。
 普通に考えるのなら、アルザス侯シャルルには何らかの防衛手段があるか、威力や落下地点の確実な制御方法がある、そう考えるべきか。

「しかし、アルザス侯の目的ならば、おおよその見当は付いて居る」

 何と言うか、世界を虚無に沈めて仕舞うには非常に相応しい術式だな。何時も通りの皮肉に染まった思考で、それまでの考えをリセットしようとした俺。その俺に対して待ったを掛けるようなタバサの言葉。
 ただ……目的?

 目的も何も、アルザス侯爵の目的は現ガリア王家に取って変わる事ではないのか?
 ガリアの虚無を押さえ、自らを絶えて仕舞ったはずのガリア祖王からの直系だと自称したのは、自らがガリアの新しい王となるに相応しい人物だと言う証明の為。まして、国内がかなり落ち着いて来たのは間違いないが、それでも去年までのガリアは内側に争いがあり、ゴタゴタが続いて居たので、その事に対して今の王に王たる資格なし、と突き付けても問題ないタイミングだと踏んだ可能性も高い。
 そう考えながら、しかし、その場では疑問を言葉にする事もなく、ただ訝しげに瞳を細めてタバサを見つめるだけの俺。
 対してタバサの方も何故だか俺を見つめ返す。

 ……良く分からない数瞬の間。
 何かを待つかのような気配を発して居たタバサに、微かな失望にも似た気配が混じる。

 そして、

「彼の目的は貴方への復讐。それ以外の事に興味などないはず」

 ……と彼女は伝えて来たのでした。


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