暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第168話 蒼穹が落ちる
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
かが現われた……と思う。ならば、その四人の内の一人で、今回の人生で一番強い繋がりのあるシャルロットをコチラのサイドで押さえて仕舞えば、もしかすると其の聖地での戦い自体を回避出来る可能性もある。

 ……かなり低い可能性だが、だからと言って限りなくゼロに近い可能性だろうと、やる前から諦めて居ては何も始まらないから。
 諦めて仕舞ったら、其処に後悔が残る事となり、結果としてまた次の人生で同じ道を歩んで仕舞う可能性が高くなるから。
 この似たような世界に転生を繰り返さない……前世の記憶を持った状態で繰り返される異常な転生を終わらせる為には、悔いを残さない事が重要だと思うから。

 俺の問いに対して小さく首肯くだけで答えと為すタバサ。この辺りは彼女が通常営業中と言うトコロなのだろうか。
 ならば――

「なら、もうひとつ質問があるんやけど良いかな?」

 アルザス地方と、その他のガリアすべて。普通に考えると、この両者の国力は、おそらく百倍以上の開きがあると思う。
 そのアルザス侯シャルルは一体どのような勝算があって、こんな無謀な賭けに挑む心算になったのか。

「その辺りは判明しているのか?」

 まさかガリアの虚無の担い手を手に入れられた事のみを根拠にして、そのような無謀な賭けに挑んだとも思えない。まして、ゲルマニアからの支援を当てにしただけとも思えないのだが。
 確かにゲルマニアの国力は高い。
 しかし、王家の格と言う方向から考えてみると、始祖ブリミルから直系で繋がっている……と自称しているガリアやアルビオン。それに小国のトリステインにさえ劣る二流国。まして、表向き官位を金で買えるのもゲルマニアだけ。他の三カ国……いや、表向きは神の前での平等を謳いながらも、現実には貴族出身の神官にしか出世の道が開かれる事のないロマリアと比べてもこれはかなり特殊。確かに金を集められるイコール優秀と言えなくもないが、ここは力ある者が搾取を繰り返す中世ヨーロッパ風の世界。本当にその人物が優秀なのか、それとも悪辣な手段で金をかき集めた他国の貴族の二男、三男であるのか分からない。
 おそらくこの辺りが、ゲルマニアが他の国々から侮られる原因と成っている点だと思う。
 果たして始祖から直系と言われているガリアの王の正統を名乗る人物が、そのようなゲルマニアからの支援だけを当てにして、独立戦争を挑もうとするだろうか?

 俺の問いに、少し怪訝そうな気配を発するタバサ。どうも、何故この程度の事が分からないのだろうか、と言う感じなのだと思うのだが……。

 ただ、其処に少なくない違和感。何かちぐはぐな感覚。
 う〜む、良く分からないな。確かに俺は天才ではない。多分俺は、十を聞いて一を理解出来るかどうか不安なレベルのオツムしか持ち合わせてはいない、と思う
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ