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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第168話 蒼穹が落ちる
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隠している本当の出身地。俺が感じて居る、爺さんが微かに発して居る人以外の気配から推測出来る出身地から考えると、その地方は間違いなくブリミル教の侵攻を受けていない地方。
 その地方に残っている伝承の、おそらく一部に因ると……。

 太陽は暗くなり、大地は海に沈む。
 そしてフリッグには再びの哀しみが訪れるだろう。

 ……こう言う内容だったか。
 そして今回のサヴォアに伝わる伝承が加わる。
 どれも太陽の光が陰ると言う内容と、フェンリル(=彗星)が関わっている。

 一応、本当にその伝承や昔話に語られている魔狼フェンリルやスルトに相当する存在が顕われて大暴れ、街に阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄絵が広がる。などと言う事態は……可能性はなくはないが、その程度の事で這い寄る混沌が望む世界的な危機が訪れるとは思えない。
 確かに千里の道も一歩から、などと言う言葉もあるのだが、そんな一地方の小さな町を不幸のズンドコに叩き落とす程度の災いをわざわざ伝承にまで残して、今、このタイミングでアチコチの地方から出て来る事はない。
 そもそも、その程度の規模の破壊を世界中へと広げるまでに、どのぐらいの時間が掛かるのかを想像すれば分かろうと言うモノ。
 確かに怪獣映画に登場する水爆から誕生した巨大怪獣レベルの物が現われたとしたら、その現われた街は多大なる被害を受ける事は間違いないが、それでも、その現われた街が破壊されている内に、その怪獣に対する対策の立てようはいくらでもある。少なくとも、今の俺やタバサ、湖の乙女たちが居て、それでも尚、どうしようもない事態に陥るとは考えられない。
 そう考えると、現実に起こり得る事態の中で一番大きな被害をもたらせる事態を想像してみると――。矢張り、宇宙から巨大な何かが落ちて来て、その衝突の結果、巻き上げられた何やかやによって核の冬が起きる。そう言う事態が想起させられる内容……だと思う。

 恐竜の絶滅を引き起こした隕石が直径十キロだと言われている事から考えると、訳の分からない原理の元に現われる怪獣などよりも、宇宙の彼方からやって来る単なる石ころの方がずっと恐ろしい事が分かろうと言うモノ。

 一瞬、かなり不謹慎な事なのだが、怪獣サイズにデカいワンワンが現われて、ソイツを力任せに蹴り飛ばす図を想像。その妙に滑稽な姿に表情が緩み掛ける俺。

 ただ……。
 ただ、真面目な話、前世の出来事を思い返してみても、あのハルケギニア世界にはこれほど多数の伝承は残されていなかった。おそらくこれがすべてだとも思えないので、本気に成って探せばもっと出て来る可能性はあるのでしょう。
 もしかするとその中には、今回の事態から更に一歩進めた形。ブリミル教の聖地で行われる最終決戦の内容にまで踏み込んだ物があるかも知れない。
 但
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