第7章 聖戦
第168話 蒼穹が落ちる
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つの名前がない以上、このタバサが語った昔話は、何モノかに歴史が改竄される以前から存在していて、更に言うと内容を改竄する必要なし、そう判断された可能性も少なからず存在している……と思う。
但し……。
「……蒼穹が落ちるか」
嘆息混じりに小さく呟く俺。
流石にこれでは抽象的過ぎて、現実にどう言う現象が起きるのか分からない。……が、しかし、それがラグナロクに関わる出来事である以上、かなり危険な事態を暗示している可能性もある。
そもそも、そのラグドリアン湖がフェンリルの牙の痕で、そのフェンリルが彗星の事だと仮定して居るのなら、それは超古代の彗星激突、……と言うトンデモナイ事態を暗示させる伝承。恐竜の絶滅を引き起こした小惑星衝突に匹敵する事態を引き起こす可能性すら存在する。
ラグドリアン湖の規模を思い浮かべる俺。それによくよく考えてみると、地球世界のフランスとベルギーの国境付近にあのような大きな湖はなかったように記憶している。
……つまり、あの湖は地球世界とこのハルケギニア世界との地形的な相違点。地形と言う点で言うと、ほとんど同じような形のふたつの世界で、何故か其処が大きく違う部分と成っていた。そう考えると、あの湖の成り立ちにこの世界と地球世界との違いがあったとしても不思議ではない。
確かに、普通に考えるのなら、いくら宇宙の彼方からかっ飛んで来る小惑星や彗星とは言え、正体はたかが石ころひとつ。今の俺の能力があればそのような物を恐れる必要はない。
地球から遠く離れている内ならば少し軌道を変えてやるだけで。最接近してからなら流石に少し労力は増えるが、それでも俺自身が霊的な馬鹿力を発揮させるのは得意としている。対処が絶対に不可能と言う訳ではない。
但し、それに神話的な裏付けが付与された場合は状況が変わる。
その神話が世界の滅亡を示唆する物ならば、俺の持っている能力では……世界で龍神と言われている存在が語られている神話的な能力を、今起ころうとしている事態が越えているのなら、いくら俺が生来の能力を発動させて小惑星や彗星を押し返そうとしても、間違いなくソレは地球へと落下、その後に神話で語られた内容の如き状態を引き起こす事となる。
「成るほど、大体の事情は分かったよ」
西の蒼穹にフェンリルの尾が細く棚引く時、太陽と月はその輝きを失うだろう。
終焉をもたらせる女が大地に降り立つ時、最初の男たる輝ける闇が万軍を率いる。
そしてすべては始まる。
女は智慧或るモノすべての滅びを望み、
いと高き男は破滅の鍵を開くだろう。
イザベラの語った伝承を心の中で反芻する俺。この厄介な事態の始まりはコレ。
其処に、オスマン老が語った内容……あの爺さんが飄々とした態度の後ろ側に
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