旧校舎のディアボロス
アーシアの過去
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うになった。
『悪魔を癒す魔女め!』
聖女として崇められていたアーシアは、悪魔を治療できるというだけで今度は『魔女』として恐れられ、呆気なくカトリックから捨てられた。
行き場を無くした彼女を拾ったのがここ、日本の『はぐれ悪魔祓い』の組織だ。
つまり、堕天使の加護を受けなければならなくなった。
少女は捨てられた。神は助けてくれなかった。
一番ショックだったのは、協会で自分を庇ってくれる人が一人もいなかったのだ。少女の味方は誰もいなかった。
「・・・きっと、私の祈りが足りなかったんです。ほら、私って抜けているところがありますから」
アーシアは笑いながら涙を拭った。
想像を絶する過去。悪魔を治したというだけで異端視され、魔女と呼ばれるアーシア。
「これも主の試練なんです。私が全然ダメなシスターなので、こうやって修行を与えてくれているんです。今は我慢の時なんです」
自分に言い聞かせるようにアーシアは笑いながら言う。
「お友達もいつかたくさんできると思います。私、夢があるんです。お友達と一緒にお花を買ったり、本を買ったりして・・・いっぱいおしゃべりしたり・・・ッ。トーヤさん?」
俺は、それ以上話させないようアーシアを強く抱きしめた。悲痛な表情を浮かべるアーシアを見たくはなかったからだ。
「あの・・・トーヤさん?」
「泣いていいぞ」
「え?」
「もう我慢しなくていいからさ。今は思いっきり泣いちまいな。嫌なもの全部吐き出せば少しは楽になるぞ」
「で、でもそれじゃ。トーヤさんの制服が濡れてしまいます!」
「そんなこと気にするな。泣きたきゃこの胸は貸してやる。今は泣け」
俺が背中を優しく叩くと、彼女は俺をきつく抱き着き大声を上げて泣いた。
「うぅぅッ・・・わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
ずっと我慢してきたんだな。見捨てられても神の加護を信じ続け、信仰心だけは捨てなかった。
泣き続けるアーシアを俺は泣きやむまで背中を叩き続けた。
「・・・もう大丈夫です」
「そっか」
互いに離れると、アーシアはすっきりとした表情で笑みを浮かべていた。
「あの、本当にありがとうございました」
「気にするな。アーシアには笑っていてほしいからな」
「あ・・・」
思わず頭を撫でると、一瞬驚いた表情を浮かべ・・・。
「えへ」
照れくさそうに笑った。やっぱり笑顔が一番だよな。
「なぁアーシア。よかったら俺と友達にならないか?」
「友達・・・ですか?」
「ああ。友達だ。友達と一緒に買い物をしたりするのが夢なんだろう? 俺が最初の友達になってやる」
「トーヤさん・・・私、世間知らずで」
「一緒に町
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