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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十九話 互角
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す? 分からないが答える必要は有るだろう、俺はスクリーンに近づいた。俺につられるようにリューネブルクもスクリーンに近づく。

「小官ならこの位置に艦隊を置きます。ミサイル艇を側面から攻撃、防御力の弱いミサイル艇を撃破、その勢いのまま天底方面に移動、要塞主砲(トール・ハンマー)の射程範囲外に展開した反乱軍を攻撃する……」

「互角か……」
オフレッサーが呟いた。互角? 一体何を言っている? リューネブルクを見た、彼も訝しげな表情をしている。

「ミューゼル、反乱軍のミサイル艇による攻撃だが、それはヴァレンシュタインが考えたものではない。反乱軍のある参謀が考えたものだ。ヴァレンシュタインはその作戦案を見たとき、即座に三千隻で潰せると言ったそうだ」
「!」

オフレッサーが、リューネブルクが俺を見ていた。だが俺は何もできなかった、話すことも頷くことも。そしてオフレッサーが言葉を続けた。
「情報部がフェザーン経由で入手した情報だ。統帥本部の参謀は三千隻で何故その作戦が潰せるのかが当初分からなかった。分かった時には感嘆したそうだ、見事だとな。俺も卿に同じ言葉を贈ろう、見事だ、この宇宙で二人だけが同じ事を考えた」

オフレッサーが俺を褒めている。しかし俺は喜ぶことなどできない。無意識にロケットペンダントを握っていた。
「そしてヴァレンシュタインはこう言ったそうだ。帝国にはラインハルト・フォン・ミューゼルが居る。彼なら必ずこれに気付くと……」
「!」

背筋に悪寒が走った。真綿で喉を絞められるような恐怖感だ。オフレッサーの言った互角と言う言葉の意味がようやく分かった。だが本当に互角か? 負けられないという思いと勝てるのかという疑問が何度も胸に湧きあがった……。



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