暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十九話 互角
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
がっていることを話してやる。キスリングの事をリヒテンラーデ侯と話した」
リューネブルクが俺を見た。そして躊躇いがちに問いかけた。
「如何でしたか」

「知らぬと言っていたな」
リューネブルクを見た、彼も俺に視線を向けている。どう思う? そんな感じだ。オフレッサーは憮然としている。思い切って問いかけてみた。
「嘘をついているのでしょうか?」
俺の言葉にオフレッサーは首を横に振った。

「分からんな、俺の頭ではそこまでは分からん……、食えぬ老人だからな。それによくよく考えれば他に候補者が居ないわけでもない」
「候補者ですか……、カストロプ公?」
俺が問いかけるとオフレッサーが苦笑した。どうやら外れたらしい、しかし他に誰が……。リューネブルクも訝しげな表情をしている。つまり俺と同レベルだ。

「例えば、ブラウンシュバイク公だな」
「!」
さらりとした言い方だった。確かにブラウンシュバイク公は贄の秘密を知っている。しかし、彼はキスリングの依頼を受けてリヒテンラーデ侯と折衝したはずだ。それなのにキスリングを殺す?

俺達が驚いているのが可笑しかったのかもしれない、オフレッサーが表情に人の悪い笑みを浮かべた。悪人面のオフレッサーがその笑みを浮かべると今にも人を殺しそうに見える。正直、勘弁してほしかった。

「公の娘は次の皇帝候補者の一人だ。贄の秘密が表に漏れればどうなる。一つ間違えば革命騒ぎになりかねん。公にとっては秘密を知る人間など皆殺しにしたかろうな」
「……」

笑いを含んだ声だが物騒な内容だ。つまり、キスリングだけではない、俺もリューネブルクもオフレッサーも危険だという事か。今更ながらキスリングの言った聞けば後悔すると言う言葉の意味が理解できた。あれは命の危険も含んでいたのだ。

俺達の沈黙をどう受け取ったのか、オフレッサーが楽しそうに言葉を続けた。
「候補者はもう一人いるぞ」
もう一人? 一体誰が? 秘密を知ったのは他にはフェルナーだけのはずだ。その彼が親友のキスリングを殺す?

「どうやらその様子では分かっておらんな、リッテンハイム侯だ」
「しかしリッテンハイム侯は秘密を知らぬ……」
リューネブルクが抗議したが最後まで言えず途中で止まった。オフレッサーはもう笑みを浮かべてはいない、厳しい表情で俺達を見ている。

「少しは脳味噌を使え、卿らの脳味噌は戦争以外には使えんのか」
「……申し訳ありません」
思わずリューネブルクと共に頭を下げていた。

しかしリッテンハイム侯? 彼とブラウンシュバイク公は次期皇帝の座を巡ってライバル関係に有る。秘密を共有するとは思えない。そしてリヒテンラーデ侯は秘密の共有者を増やしたいとは思っていないはずだ……。

オフレッサーが唸るような口調で話し始めた。呆
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ