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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十九話 互角
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するとオフレッサーが吼えるような大声を出してソファーを指差した。
「礼など要らんし、祝いの言葉も無用だ、話が有る、そこに座れ。おい、しばらくの間誰も入れるな!」
相変わらず滅茶苦茶な男だと思ったが悪い気分はしなかった。リューネブルクを見ると彼も笑っている。考えてみれば俺達に祝いの言葉を述べられて照れているオフレッサーというのは想像がつかない。この方がいかにもオフレッサーらしい。
ソファーに座るとオフレッサーが忌々しそうに話しかけてきた。
「全く面倒なことだな、元帥になると決まったら訳の分からん連中が次から次へと来る。戦場に出たこともない奴にちやほやされてもな、うんざりだ」
心底嫌そうな表情をしている。耐えられなかった、思わず笑い声が出た。オフレッサーを笑うなどキチガイ沙汰だがそれでも止まらなかった。リューネブルクも笑っている。そんな俺達をオフレッサーが忌々しそうに見ている。それがまた可笑しかった。
一頻り笑い終えた後だった。オフレッサーが俺達を見てぽつりと呟いた。
「変わったな……」
「?」
「俺は卿らが嫌いだった。生意気で常に周囲を見下すような目をしていた。そう、卿らは周囲を蔑んでいたのだ。自分だけが正しいのだ、自分はもっと上に行くべき人間なのだと言う目をしていた。鼻持ちならない嫌な奴だ、そう思っていた」
「……」
「だがヴァンフリートで変わったな。あの敗戦で卿らは変わった。まああれだけ叩き潰されれば変わるのも当たり前か……。そして今も変わりつつある……。ミュッケンベルガー元帥に感謝するのだな」
「?」
ミュッケンベルガーに感謝? 良く分からない、思わずリューネブルクを見たが彼も訝しげな表情をしている。
宇宙艦隊司令長官ミュッケンベルガー元帥は先日辞職願を皇帝に提出した。皇帝フリードリヒ四世はその場での受理はしなかった。しかし今回の戦い振りが必ずしも芳しくなかったこと、ミュッケンベルガー本人の辞意が固い事から、その辞職は止むを得ないものと周囲には受け取られている……。
変わったと言うのは何となくわかるような気もする。以前に比べれば帝国の闇を知ったし、人というものを一面で判断してはならないとも理解した。なによりリューネブルクとこうして二人で居る事が出来る、以前なら有り得ないことだ。
オフレッサーが以前は俺を嫌っていたというのも分からないでもない。彼の俺を見る目は決して好意的なものではなかった。いや、俺に好意的な視線を向けた人間が居たか……、居なかったと思う。彼だけの問題ではない。だがミュッケンベルガー?
「ヴァンフリートの敗戦後の事だ、卿ら二人を死罪にすべしという声が上がったのだ」
「!」
思わず、オフレッサーの顔を見詰めた。オフレッサーは昏い目で俺達を見ている。
「グリンメ
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