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真田十勇士
巻ノ八十九 水を知りその九

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「よいな」
「わかり申した」
 十勇士達も頷いて答えた。
「そうしていきます」
「ではじゃ」
「はい、また天下に出ます」
「そして天下の動きを見ていきます」
「そのうえでお伝えします」
「拙者も出る」 
 他ならぬ幸村もというのだ。
「よいな」
「はい、ではです」
「我等十一人で天下を巡り」
「機を見て天下の豪傑の方々とお会いして」
「腕を磨くのですな」
「そうしようぞ、しかし後藤殿がそうなられ」
 幸村はここでまた彼の話をした。
「他の方々も行方がすぐにわからぬ方が多い」
「それが、ですな」
「どうにも困りますが」
「それでもあえて見つけ出して」
「お会いして」
「技を伝えて頂きますか」
「そうするとしようぞ」 
 こう言ってだ、幸村は天下の動きも見つつ豪傑達も探していた。そしてその頃家康は江戸城で本多正信達を集め言っていた。
「お拾殿と千の婚姻は済んだ」
「はい、千姫様も無事にです」 
 その本多が言う。
「大坂に入られました」
「そうじゃ、これでじゃ」
「上様はお拾殿の外祖父となられました」
「だから話が出来る」
「外祖父として」
「これまで以上にな」
「ですな、しかし」
「うむ、茶々殿との婚姻はな」
 家康はまだこのことを言う、それも残念そうに。
「結局な」
「こちらはですな」
「上手いかなかったのう」
「上手にいけばです」
「うむ、茶々殿についてもな」
「確かに言えたのですが」
「そして豊臣家もな」
 この家もというのだ。
「茶々殿の夫、そしてお拾殿の義父としてな」
「動かせましたが」
「それは適わなかった」
「はい、残念ながら」
「なら仕方がない、茶々殿にこれ以上言っても」
「聞かれる方ではありませぬし」
「諦めるとしよう」
 家康は遂にこう言った。
「世でわしは鳴かぬまで待つ者と言っておるそうじゃが」
「はい、上様は実は」
「これは吉法師殿も太閤様もそうであったが」
「鳴かせてやろうですな」
「わしもそれじゃ」
 家康にしてもというのだ。
「鳴かせてやろうじゃ」
「何としても」
「あれこれとしてな、しかしな」
「どうしても鳴かぬのなら」
「諦めるしかない」
「別の方法でいくしかありませぬな」
「要は大坂が手に入ればよい」
 この地がというのだ。
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