第三幕その十二
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「スランプを抜けたらね」
「それを抜けたら?」
「抜けたらなんだ」
「その時はどうか」
「どうなるかなんだ」
「そうだよ、大きくなれたりするから」
芸術家としてです。
「成長のきっかけにもなるんだ」
「そうなんだね、スランプは」
「苦しいけれど抜け出たら成長出来るんだ」
「それが出来るから」
「それでなんだ」
「そう、大きくなれるものでもあるんだ」
スランプ、そしてその苦しみはというのです。
「だからスランプを乗り切ることが出来れば」
「いいんだね」
「苦労してでも」
「かなり苦しんでも」
「そうだよ、人は苦しみもね」
それもというのです。
「成長の粮に出来るんだ」
「ああ、よくそう言うね」
「人は色々なことから学んで」
「苦しみもなんだ」
「成長出来る」
「そうだったね」
「そうだよ、だからね」
是非にというのです。
「太田君もね」
「このスランプを乗り越えられれば」
「芸術家として成長出来るかも知れない」
「そうでもあるんだ」
「うん、そうでもあるからね」
だからだというのです。
「乗り越えて欲しいね」
「それが成長になるかも知れないから」
「だからだね」
「太田さんには是非」
「そうなってもらいたいんだ」
「そうも思ってるよ、僕はね」
こうも言った先生でした。
「どうもスランプはないし苦労もしてないけれど」
「いやいや、先生も色々あったじゃない」
「何度も大変なことがあったじゃない」
「冒険の旅にね」
「あと病院に患者さんが来なくなったり」
「お金のことも大変だったじゃない」
皆先生のこれまでのことを一斉にお話しました。
「何かとね」
「先生の人生も波乱万丈だよ」
「日本に来てからも色々あって」
「凄かったじゃない」
「そうだったかな」
先生としては苦労を苦労と思わない性格なので自覚がないだけです、先生はそうしたことは感じないのです。
「だといいけれど」
「先生もどんどん成長してるよ」
「人間としてね」
「いつも学問に励んでるけれど」
学者さんとしての日々の精進だけでなくというのです。
「人間としてもだよ」
「どんどん温厚で公平になって」
「円満な性格になっているよ」
「だといいけれどね、僕はね」
またこうしたことを言った先生でした。
「苦労をしてこなかったから」
「だからそれは違うって」
「苦労も数多かったよ」
「先生は自覚ないけれど」
「スランプもそうじゃないの?」
「とにかく論文書き続けて気付いてないだけで」
「そうだったんじゃないの?」
苦労と同じくスランプもというのです。
「結局のところ」
「そうだったんじゃ?」
「先生のことだから」
「誰かに助けてもらってって思って
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