SIDE:A
第十六話
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サバイバル生活を始めて今日で二十日。修行そのものは順調だ。
星空が夜空を彩るなか、パチパチとは爆ぜる焚火の音が静まり返った森の中に響き渡る。なんか良いよなこいう空間って。癒しの空間だ。
「ふぅ……」
切り株に腰掛けながら、この修行を通じて得た成果に思いを馳せる。
この修行の目的は現在構成中の想像忍術――瞬間移動の術を完成させること。
時空間忍術に分類される瞬間移動の術。これは『探知』『歪曲』『跳躍』の三つで構成されており、最初の『探知』で躓いていた。
元ネタがドラ〇ンボー〇であるため、この『探知』の最大探知可能領域は国を超えて惑星単位。規格外な探知領域で設定している。俺が使える時空間忍術で最大移動距離を誇る"飛雷神の術"でも、マーキングした場所に移動できる距離は三十キロほど。完成すれば任意で世界中のあらゆる場所に跳べる規格外の術となる。
第一段階の『探知』では生き物が持つ"生命力"を目印に感知。第二段階の『歪曲』で対象周辺の空間と自分の空間を捻じ曲げて繋げる。第三段階の『跳躍』でその場所に跳ぶ。大雑把な設定はそんな感じだ。イメージの方は本家を見ているからバッチリだけど。
目隠しをしながらサバイバル生活を送っていると、なんとなくではあるが自然というのがどんなものか分かってきたと思う。
なんていうか、命は廻るというのかな。前世で読んだ漫画にこんな名言がある。
「全は一、一は全……か」
ハガレンで有名なハガネの錬金術師という漫画で主人公とその弟が錬金術の師匠に弟子入りする際に、無人島で生活を送るという試練だ。そこで生活を送り『全は一、一は全』の答えを見つけるように指示を出す。
電気なし、井戸なし、雨をしのぐ家なし、そして、錬金術禁止の生活の中で見つけた彼らの答え。
【オレもアルも世界や宇宙の大きい流れの中のほんの小さなひとつ、全の中の一。だけどその一が集まって全てが存在する。この世は想像もつかない大きな法則に従って流れている。その流れを知り分解して再構築する……それが錬金術】
錬金術師ではない俺もハガレンの主人公たちと同じようにサバイバル生活を送ってみて、命の巡りというのを実感した。知識として習った食物連鎖、それを実際に体感してみると、自然――いや、この星という一つの惑星を常に命が巡っているのだと実感したのだ。
動物、植物、人間。それらすべてに命が宿り、命をもらって今日を生きる。目隠しをしてから気配に敏感になったけれど、この気配そのものが命なのだと心で理解した。
たったの半月ちょっとでここまで悟ることが出来たのなら、一年ほど籠れば新たな扉を開けるかもしれない。しかし、俺の
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