第二十六話「初デート 後編」
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』
『そんな悲しいこと言わないでよ。エストは私のたった一人の友達なんだから』
『友達、ですか。それが理解できません。友達とはなんですか?』
『え? うーん、私も言葉にしようとすると上手く出てこないなぁ。あ、そうだ! きっと私とエストのような関係だよ!』
それを聞いた剣精霊の脳裏には主従関係=友達の図が浮かび上がった。それが間違った認識だと理解するのに数年かかったらしい。
剣精霊を所有する少女の評判は大陸中に伝わった。大陸は史上最悪の魔王の脅威に晒されている最中。大国による魔王討伐編成が何度も組まれ、時には同盟を組んでまで魔王を討伐しようとするも、すべて失敗に終わっている。【救世の聖女】の存在はもはや人類の最後の希望だった。
魔王討伐連合軍を組んだ同盟軍は少女に第一突撃兵団の隊長の座に座るように指示を出した。第一突撃兵団は別名、切り込み死兵団。彼らの役割は己の身を捨てて敵軍に風穴を開けることだ。そんな部隊の隊長を強制したということは、軍は彼女に死ねと命じたも同然だった。まだ、十四歳の恋さえ知らない少女に。
しかし、少女は自ら苛烈な戦いに身を投じる。
『エスト。私、戦うわ。世界中の苦しんでいる人のために』
『はい。私はあなたの剣。あなたの望むままに』
大陸中を旅しながら荒ぶる精霊と戦ってきた少女は多くの人々を見てきた。誰もが今日を生きるのに必死で、そんな現状を変えることが剣精霊と契約を結んだ自分の役目なのだと思った。
正しく救世の聖女だったのだ。
後の時代に【魔王殺しの聖剣】と呼ばれる魔王軍との熾烈な戦いは三日三晩続いた。魔王麾下の精霊が支配する軍団を薙ぎ払い大打撃を与えていく。死せる定めのある部下たちも見捨てず、自分の背を見せて必死に鼓舞していった。
そして、悲願の魔王を討伐することに成功する。掛け替えのない代償と引き換えに――。
『マス……ター……?』
魔王を滅ぼしたはずの――勝ったはずの聖女の体が、美しい精霊鉱石へ結晶化していくのだ。
『そんな顔しないでエスト。これは分かっていたことなんだから……』
諭すように剣精霊の頭をまだ動く右手で優しく撫でる聖女。その微笑みを見て剣精霊は悟った。
これは"呪い"なのだ、と。
自分が今まで倒してきた精霊たちの怨嗟と呪詛。それが限界にまで達しついには契約者の体を蝕んでいるのだと。
【魔王殺しの聖剣】はあらゆる呪いを滅ぼす剣。しかし、その実態は聖剣などではなかった。
精霊に宿る呪いは祓ったわけでも滅ぼしたわけでもない。呪いそのものをその身に吸収していたのだ。数多の貯め込んだ呪いを契約者に与え
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