アージェント 〜時の凍りし世界〜
第一章 《凍てつく白銀の大地》
ゼスタ事変A
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れと、もう一つ。このままだと氷雪ちゃん、近い内に大きな発作を起こす。」
「ーーー!?……どういう事だ?」
「いまの氷雪ちゃんは魔力の暴走を不安定なスノウスフィアで無理矢理押さえつけている状態だからね。押さえ付ける力が強く、押さえ付ける時間が長いほど反動も大きい。」
要はプレート性の地震と同じである。
「じゃあどうすれば……」
「落ち着け、暁人君。氷雪ちゃんの魔力そのものを奪う薬を処方する。特殊な薬だから二、三日掛かるし、普通の人なら毒にしかならないけど氷雪ちゃん程の魔力があれば苦にはならない筈だよ。絶対量が少なければ発作の規模も小さくなる。」
「………そうか。すまん、取り乱した。」
「いいよ、妹の為に必死になるその気持ちはよく分かる。……けどね、暁人君。」
ここで、ミハイルは先程言えなかった事を口にする事に決めた。
「氷雪ちゃんの未来を拓いても、君自身の未来が無ければ何の意味も無いんだ。それを覚えておくんだよ。」
「………ああ。」
「お兄ちゃん……先生と…何お話してたの?」
「うん?ああ、氷雪の薬の事でちょっとな。」
「……ミハイル先生の薬…苦い…不味い…嫌い…。」
「そう滅多な事を言ってはいけませんよ、お嬢様。良薬口に苦し、良いお薬ほど苦いものです。」
「………う〜。」
普段は味方のミミに諭され、頭を抱える氷雪。その姿さえ暁人には愛らしく、何者にも代えがたく感じる。
今更言うべき事でも無いが、暁人はドが付くほどの超ド級シスコン野郎である。彼の世界の中心は常に氷雪であり、物心ついた頃から氷雪を護り抜く為の鍛練は一日足りとも欠かした事はない(事実、暁人の戦闘スタイルは守勢、受け身やカウンターを得意とする)。
故に、
「……!?………う…………あ………。」
「氷雪っ!?」
「お嬢様っ!?」
暁人にとって氷雪は、最大の弱点となる。
「氷雪、どうした!氷雪!!」
突然、胸を押さえて苦しみだす氷雪。その矮躯からは蒼氷色の魔力光が溢れだしている。目に見えて取り乱す暁人。
「(発作か!?不味い!こんな……所で……!)ハボクック!!」
〈Aye sir.Limiter release.〉
暁人が自身に課していた軛を解く。単純な魔力量で三倍以上開いている氷雪の魔力暴走。暁人の全力を以てしても止めきれる保証はない。
「ミミ!周りの奴らを下がらせろ!」
「了解です!」
意思の無い、けれどそれ故に純粋な破壊力が弾ける。暁人は多数の氷の盾を創り出し、威力を抑えつつも拡散させる。規模は違えど、缶スプレーのガス抜き
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