アージェント 〜時の凍りし世界〜
第一章 《凍てつく白銀の大地》
ゼスタ事変A
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るでしょう。」
幸い、以前と違ってそこまで深刻なダメージは無い。さしたる障害は無ければ、リハビリも不要であった。
「こんな言い方をすると可笑しいですが……犯人の方に感謝してください。」
「え?」
「氷で凍結させただけの大雑把な処置でしたが、最小限かつ精密な魔力操作で行われていました。施さなければ失血で、やり過ぎていれば凍傷と低体温で、いずれにせよこんなものでは済まなかったでしょう。」
ましてや、当時のなのははその状態で魔法を使おうとしていたのだ。そんな事をしていたら、命すら落としかねない程に危険な状態だったのだ。むしろこうして順調に回復しているのが奇跡に近い。
「尤も、怪我をさせたのも犯人の方ですから色々複雑でしょうが。」
「ええっと……逮捕してから言わせてもらいます。」
「構いませんが、安静期間は守って下さいね?上司の方にも連絡はしておくので。」
「う…………分かってますよぉ………。」
医師にジト目を向けられ、再度釘を刺されるなのはは拗ねた様な声を出して目をそらす。
(私ってそんなに信用ないかな……?ううん、きっとそんな事無い筈!……だよ、ね?)
残念ながら、こと無茶に対する自制については、なのはの信用度はゼロに等しかったりする。
「……なら、良いのですが。貴女の“前例”については当時の担当医の方からよぉく聞かされてますので。確か……シャマルさんでしたか?」
「うう……あんまり言わないでください。」
言い返そうにも相手が全面的に正しいために反論出来ないなのは。結局、退院許可は貰えたのだがこってり絞られたのだった。
「………落ち着いてきてるね。前回の検診から発作は?」
「えっと……ありません。」
「そうか……よし、お疲れ様。後はお兄ちゃんと話すからね。」
「あ…ありがとうございました。」
そう言って診察室を出ていく氷雪。ミミもそれに付き添っていく。後に残ったのは暁人と氷雪の担当医である若い医師だけだ。
「……ミハイル、氷雪は……安定してきてるって考えていいのか?」
「ああ、そういう意味では君の“治療”は効果を上げている。けど……」
氷雪の担当医であるミハイル・ミハイロフは暁人の“計画”を知っている。暁人の両親に恩があったミハイルは元々『訳アリ』な氷雪を隠す上で大きな役割を担っている。
「……何だ?」
「………この安定は、恐らく一時的なものだ。スノウスフィア自体が安定しない限りは完治とはならない。」
「……やっぱり、か。」
分かってはいた事ではあるが、まだ長い道程を想像し、現実を再認識する暁人。その様子を見てミハイルは何かを言いたそうにしたが止めた。
「……そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ