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KANON 終わらない悪夢
47香里の最後
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いる美汐より効率的に、何の術も使わず体力やコストゼロで姿を消していた過去の親友に驚かされるプレデターさん。
「えっと? 君は…」
 生徒全員の名前と経歴を記憶している教頭も、この生徒の名前と経歴だけは、どうしても出て来なかった。
(この子は確か…)
 小中学校で何度か同じクラスになり、名前を知っているはずの栞も、地味子さんの名前だけは思い出せなかった。
(((((恐ろしい子…)))))
 先ほど結ばれたばかりの祐一も、その状況すら忘れそうになっていて、どうも妖狐の妖力を受け取った地味子さんの元々の素養が開花し、素で隠形の術を使い、自分から正体を表さない限りどんな検問でも通過できる体になったらしい。

 二年、美汐の教室。
 その頃、二年の教室でも事件が起こっていた。
 休み時間に美汐が話す「鬼籍の濃い?シーズン4」も問題で、名誉殺人によって処刑されそうな所を、まるで怪盗のように盗み出して救ってくれた憧れの先輩の「作話」も話題になっていたが、それを話していたのは、その内容を録音?されていた沢渡真琴だった所にある。
 純血の妖狐のメスがひとたび髪を掻き上げれば、教室中にそのフェロモンが振りまかれ、外見が美汐の真琴に恋をする者が続出した。
 その声は人間のオスにとってセイレーンの歌声で、例え難破しようと座礁しようが向かって行き、破滅する結果が見えていても殺到するのが男である。
「天野さん、そんな「許されない恋」なんて駄目だ、俺なら君を幸せにしてやれる」
『い〜のよ、あたしと祐一は結ばれて幸せになったんだから邪魔しないで』
 いつもの頭のユルそうな真琴語のまま喋っているが、これも術の影響でクラスメイトの脳内で翻訳され、いつも通りの美汐の語り口調に変換され、カチカチの堅い内容に切り替わる。
(翻訳:構わないんです。私はもう、相沢先輩と結ばれて、幸せになったんですから。話の腰を折らないで下さい)
 既に一時間目からメモが回ってきて告白され、ラブレターも何通か到着しても、どこかのアスカみたいに床に捨てて土足で踏んでゴミ箱に直行。休み時間に絶叫告白されても無視、女子のリクエストに答えて、美汐の指示通り「奇跡の故意4」を話し続けた。
「俺と結婚してくれ、天野さんっ」
『うっさいわね、あんたなんか知らないわよ、だから邪魔しないでって言ってるでしょ?(翻訳:静かにして下さい。私は貴方のことは何も知りません。ですから話の邪魔はなさらないで頂けますか?)』
 気の毒な男子は、ナンパに失敗して座礁し、波間に屍を晒し続けていた。

 ついでに祐一の隣の教室。
 既に月宮一行やヤンキー女、五月蝿い女は自分の教室に帰り、「俺もついにお母さんか、エヘヘ」などと別人のように笑っていたり、うるさい女は祐一から「せっかく美人なんだから、もう少し静かにして
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