45穢された仄かな恋、快楽堕ちのヤンキー女
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う言ってるのだと気付いた。
自分はすでに一弥をお腹に宿し、舞と運命を共に出来ないのにも気付き、そんな運命を呪った。
『さあ、それが嫌なら私を殺せばいい… できる物なら、ね?』
屋外の誰に向って言っているのか、愛用の刀が入った鞄を手繰り寄せ、泣きながら笑う舞。
学校に来てからずっと、スナイピングポイントから標的として狙われているのは、月宮一行でも祐一でもなく、舞だった。
『もうすぐこの宇宙は裂け始める、遠ざかる星も光の速さは超えられない。星はそこで立ち止まるのか、逆に戻ってくる青い世界が始まるのか、私には決められない。重ね合わせの未来から、選ぶこともできない。でも祐一が、天使の人形が私を選べば宇宙の定数は-1.0じゃなくなる、何もかもがバラバラに千切れて裂けて行く、あはっ、はっ、あははははははっ!』
瞼を抑え、涙を拭いながら笑い続ける舞。その凄惨な結末を知っているのか、どんな喜劇が巻き起こるのか知っているのか、その涙と笑いは止まらなかった。
『どうしたの? 佐祐理には舞が何を言ってるのか分からない、理解できないわ』
悪魔の娘、リリスが選ばれると、重なりあった未来から最悪の事態が選び出され、現行の宇宙は裂けて未来は無くなり、青方偏移で過去に巻き戻る世界だけが残る。そんな物に追従できるのは、反剋の存在である純血の妖狐だけで、時間を片方に向かって落下して行くことしか出来ない人類には生きていく道が無い。
選ばれた巫女であっても、人間として生まれ、時間を移動する事も、この世の物理法則を捻じ曲げる事もできない只人には、時間が巻き戻る世界では呼吸すら出来ない。箱舟の中を除いては。
「何てこった……」
監視者の中にも舞の言葉を理解できた者は少なかったが、何故か用務員にだけは舞の中に見えた地獄が伝わった。
昨日、ゆうくんが目の前に居ると知った美汐より派手にお盆を落とし、取り乱してその場に座り込んで視線を巡らせると、一人だけその状況を変えられる人物が目に入った。
「おねげえしやす、旦那。このハチ公、何度もポンポン頭を下げる男じゃねえのは知っての通りだ。だけど一つだけ、たった一つだけ願いを聞いてやっちゃあくれやせんか? あっしはこの通り、決してお天道さまに顔向けできるような奴じゃねえのは分かっておりやす。でも、こんな奴にも可愛い孫がいるんでさあ、家族みんなとは言わねえ、もう死に時のあっしやカカア、娘の命もいらねえ、今すぐにでも差し上げやす。ですから孫娘だけでも嫁に、いやぁもう端女でも何でも構いやしねえ、孫娘も「天之岩戸」の向こう側に連れて行ってやっておくんなせえっ」
「そんな、手を上げて下さい」
昨日から、やたら土下座だの、一生のお願いだのを受け取らされる祐一だったが、見知らぬ老人の、それも漢の泣き売、命の押し売りを受けるのには躊
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