第13話<武運長久を>
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
に散らすじゃないだで」
そして真剣な顔で私に敬礼した。
「武運長久を」
私も思わず答礼した。
堪りかねた夕立は顔をクシャクシャにして母親に抱きついた。
「お母さん!」
母親も無言で夕立を抱きとめた。
しかし寛代が叫ぶ。
「来るよ!」
その場に緊張が走った。夕立は直ぐ母親から体を離すと私に並んで敬礼をした。
夕立は泣くのを堪えながら言った。
「行って……来ます」
「あぁ、行っといで」
既に日向は軽機関銃の準備を終えて運転台に向かっていた。私たちも母親と別れて直ぐに軍用車に乗り込んだ。
私は後部座席に、夕立は車内中央に据えられた軽機関銃の銃座に立った。さすが艦娘は軍人だ。単に可愛らしいだけの制服だったのが今は彼女と機銃がしっかりマッチしていた。
母親が叫んだ。
「必ず生きて帰りな、ぽいちゃん! さっ、早く!」
いつの間にか敵機の低い爆音が遠くから聞えていた。
「出ます」
日向はシフトレバーを操作する。幌を取った軍用車は黒煙を吐きながら公園の前を発進した。
「来た!」
寛代が叫ぶと遠くの空に黒い点が幾つも見えた。お台場だろうか? 高射砲の発射音と共に空に弾幕が張られていく。
ふと振り返ると母親はまだ敬礼をしていた。
やや俯いて唇をギュッと閉じている夕立。金髪を振り乱して泣いているようにも見えたが気のせいか?
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ