第12話<5分間>
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出来る相手なら、その意図や目的を確認して戦闘を回避出来るかも知れない。
すると、その深海棲艦は片手を私たちの方へ向け、手のひらを広げて見せた。
「ゴフンダケ、マッテヤル。ソノアイダニ、ミンカンジンハ、ニガセ」
民間人って……私は母親を見た。まさか?
「……敵に塩を送るつもりか?」
私は肩をすくめた。こういう『温情』がある敵だとはな。ますます戦い辛い。
「どうします?」
一連のやり取りを聞いていた日向も聞いてくる。
私は言った。
「5分……取り敢えず戻れ!」
「了解!」
日向はシフトチェンジしてバックギヤに入れると母親に言った。
「お母様、揺れますので気をつけて!」
直ぐに軍用車は後退しながら加速する。夕立の金髪が車外になびいた。
「ぽいぃっ!」
だから、お前の叫び声には何の意味があるんだよ! 一応、軍人だろっ。
「口を閉じて、舌を噛みますよ」
後ろを振り返りつつ、そう言った日向。ある程度のところで正面を向き直ると彼女は急ハンドルを切って軍用車は路地で勢いよく180度ターンをした。
「おえぇ」
「誰だっ!」
さっきから、うるさいのは一人だ。
「……ったく夕立か?」
寛代も母親も黙っているが。
「……」
だが夕立は賑やかな台詞とは裏腹に私の母親の身体は、しっかりと押さえてくれていた。そこは任務を果たす軍人らしかった。
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