第10話<一緒に靖国>
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そうだなあ、鋭い質問だ」
私は歩きながら考えた。
「もしも平和な世の中になったら、やっぱり、ここかな?」
多分、艦娘は入らないだろうけど。
「ふーん」
分かっているのかなぁ? 夕立よ。
そのうち私たちは共同墓地から出た。道路を横切りながら彼女は言う。
「もしもぉ」
まだ来るか?
夕立は手にした花びらを、一つずつちぎっている。
「私も、こういうお墓に入ること……」
歩くのが少しずつ遅れている。
「……あるっぽい?」
この言葉にはギョッとした。思わず私も立ち止まった。
夕立は少し上目遣いに、こっちを見ている。
「艦娘が普通のお墓?」
それは想像を絶する世界だ。だが考える必要はあるな。
「もし、仮に……」
私はアゴに手を当てた。夕立は少し神妙な表情でこちらを見つめている。手にした花は、いつの間にか皆、散っている。
……あ、ひらめいた!
「仮に夕立と私が結婚でもしたら、一緒に入ることもあるかな」
半分、冗談。半分本気。
「家族なら艦娘であっても可能だと思う」
「ぽい? 一緒? えぇ、怖いっぽい」
「なんだ、怖いのか」
私は苦笑した。考えて損をした気分だ。我ながら名回答だと思ったのだが。
「さすがに夕立には理解を超越するよな」
「でも、ちょっとわかるっぽい……」
「え? マジ?」
分かるのか? 夕立……こっちのほうが意外だった。
先を行っていた母親は駐車場に到着していた。私たちの歩みが遅いからこちらを振り返っている。
少し、風が出てきた。寺にある木がサワサワと音を立て始めた。
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