生存のエスケープ
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お母さんの分もね……」
「うー……、バイ……バイ……」
「……よく、できました……。じゃあ、もう行くよ……」
今は何もわかっていなくても、いつか母親の死に苦しむだろう。もしかしたら世の中クソだとか、そんな風に荒んだ言葉を言うかもしれない。それでも、サバタさん達に支えられたおかげで今の私があるように、良き出会いと周りの人に支えられて、この子も立ち上がってくれると信じるしかない。
とりあえずフーちゃんを背負っている今、来た道は狭すぎて通れなくなった。構造的にはここは壁際に近いから、壁を打ち破るという手段が使えなくはないけど、そんなの壁抜き魔法でもない限り厳しい。入り口以外にここから外へ行けそうなルートと言えば……、
「だ、男子更衣室かぁ……女子の方は瓦礫で塞がってるし、ここしか通れないのか……」
『また随分とおもしろ―――変な道が残っていますね』
「ねぇ、今おもしろいと言わなかった?」
『言ってません』
「言ったでしょ」
別にいいけどさ。ただ、女子の私が男子更衣室を通って外に行くとか、何かを間違えてる感が凄くする。男子が女子更衣室に入る〜な展開は、人と会うとか爆弾解体とかでなぜかよくありそうだけど、それはそれとして逆のパターンに需要はあるのだろうか? まぁ、人がいるならアレだけど、こんな状況で誰かが着替えている訳が無いし、生き延びるためでもあるから行くしかないか。
砂利まみれの扉を開けると、部屋中のロッカーや備品の詰まったダンボール箱が倒れて山を形成していた。一応通路を埋め尽くすほどではないため、ここからならひび割れた窓を通じて、外に行けそうだった。ちなみに倒れたロッカーの中から何冊か雑誌がはみ出しており、表紙がつい視界に入ってしまった。
「……『月刊・格闘少女 ほとばしる汗が彩る艶やかな肢体』、『魔法少女の堕落 くっころ編』、『奇跡の一瞬を逃すな! チラリズムの極致』……」
『あわわ……! は、ハレンチな本です! お、大人にならないと読んじゃいけない雑誌や写真集がいっぱいです!?』
「まともな雑誌もあるにはあるんだけど、バリアジャケットってダメージ受けると破れる仕組みだから、女性の選手を写すだけでちょっとエッチっぽくなるみたい……。次元世界の男の人って、こういうの読んでるんだ……」
『いわゆるスポーツ新聞的な感じでしょうか?』
「かもね。とりあえずこの精神攻撃は見切った。精神を研ぎ澄ませて、脱出路のみを視界に捉える。そうすれば、エッチな本は簡単に視界から消すことができる。……チラッ」
『あ、あの……バッチリ見てますよ? この緊急事態にそんなことしてる場合ですか、シャロン……?』
「ハッ! ご、ごめん……少し取り乱した。もう大丈夫…………あ!」
『急
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