生存のエスケープ
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運命に選ばれなかった人には、生きる権利すらないというのかな……?」
『悲観的になり過ぎると、どんどん闇に沈んでしまいますよ。経験者である私が言うんですから、間違いありません。ただまぁ、今回はあの機械竜が原因ではありますが、今日ここに彼女達がいたのは運が悪かった、間が悪かった、などと考えるしかないでしょう』
「それでも巻き込まれた側は、もう散々だよ……。私も闇の書やファーヴニルの件で言えばほとんど同じだけど、第三者がやらかした事で被害を受けたら、なんでこんな目に遭わなきゃならないんだって嘆きたくなるよ」
『確かに、自分と関係ない誰かのせいで大事なものを失ったら、怒りも憎しみもそうですけど、やっぱり虚無感が湧いてやるせなくなりますよね』
「うん……」
過去の事を思い出しながら、私は『フーカ・レヴェントン』と名札に書かれてあるベビーキャリーを装着して、少しぐずりだした赤子を背負った。私は別にレスキュー隊員って訳じゃないが、託された以上は安全な場所まで運んでいかないと、寝覚めが悪かった。
『なんだか保育園の保母みたく見えますね、今のシャロンの格好』
「こんなボロボロの格好した保母さんがいたら、保護者の人があそこ服も直せないぐらい貧乏なのかと不安になっちゃうよ。……さて、思わぬ拾い物を見つけてしまったけど、改めて戦域から離脱しよう」
『ですね。ところで離脱すると言っても、どこに行きましょう?』
「子供がいる以上、管理局は嫌だと意地を張ってる場合じゃない。ひとまずはクラナガン中央区画の管理局地上本部を目指そうと思う」
ファーヴニル事変の時に使われたシェルターを探しても良いんだけど、私はシェルターの場所を知らないし、この子の身体に異常や怪我が無いか調べてもらわなければならない。故にそれなりの医療設備がある組織に保護されるのが望ましかった。
しかし目指すと言っても、先程のような全力疾走は衝撃が強すぎて、まだ未熟なフーカちゃんの身体に悪影響を与えかねない。ここから先は慎重に……ステルスミッションみたいな感じで気を付けて移動するべきだろう。
しかしフーカちゃんか……なんか呼び方がしっくりこない。う〜ん……、
「フーちゃん?」
「あう?」
適当に呼んだら、なんか返事してくれた。もしかしたら普段は母親のカザネさんにそう呼ばれてたから、つい反応しちゃったのかもしれない。まぁ、この呼び方の方がしっくりくるし、これで呼べばちゃんと応えてくれるから問題ないね。
「……フーちゃん。ここは危ないから、もう行かなきゃダメなの。会えなくなる前に、お母さんとバイバイしよう?」
「やー」
「うん、お母さんと別れるのは嫌だよね。私もわかるよ。でも……フーちゃんは生きなきゃならないんだ。守ってくれた
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