生存のエスケープ
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、あまりの量ゆえに素の状態ではどうしても避けきれない時もあった。
『ブーストワン! クイック!』
そんな時はイクスが魔力チャージの直後に高速移動魔法を発動させ、私の速度を爆発的に向上、まるで弾丸のように回避させてくれた。いわゆる空中ダッシュ、もしくはサバタさんのゼロシフトっぽい動きをしているわけだが、発動する度に黒い紫色の光が発せられるのが少し気になった。なんていうか……今まで私から色んなものを奪ってばかりだった次元世界の魔法に助けられてるというのが、こう……モヤモヤするというか、うまく言葉に出来ないが複雑な気分にさせられるのだ。
ともあれひたすら走り続けた結果、ついに市街地に入れた。だが、まだ海岸から距離がそう離れていない以上、そこも戦闘の渦中だった。しかも先程の殺人光線が着弾した場所でもあるため、あちこちで未だに炎が燻っていた。この辺りの一般市民は既にシェルターに避難したか、管理局に保護されているらしく、戦闘中の魔導師以外の人影は見られなかった。それでも一応は激戦区を外れたため、体力の回復のために燃えてはいない適当な建物―――看板にギャラクシージムと書いてある崩壊した格闘技ジムに立ち入り、少し休憩を入れることにした。
「はぁ、はぁ……もうしんどいよ。次元世界に戻ってきてから、なんで追いかけられてばっかりなの……?」
『ある意味人気者ですね』
「イクスも一因でしょうに……」
こんな状況下ではあるが、ジム内の自販機は奇跡的に生きていた。小銭を入れて“アクアソル”という名前のドリンクを購入、体が吸収しやすいように間を挟みながら飲んだ。
「あ、これ美味しい……」
『喉越しが良くてスッキリしますね。誰が考案したのか知りませんが、私もずっと飲んでいたいぐらい気に入りました』
「ラベルを見るとアウターヘブン社の生産みたい……赤レーションといい、あそこは食事関連に力でも入れてるのかな?」
『でも戦う者だからこそ食事には気を遣う、という話は聞いたことがありますよ。戦場で栄養失調なんてことになったら、戦いの際に本来の力を発揮できませんし、そうなって命を落とすのは自分なんですから』
「兵士だろうと一般人だろうと体調管理は自己責任なんだね。……ところで外の戦闘、戦線が少し街中に寄ってきた?」
『さらに予断を許さない状況になりましたね。息が整ったら念のためこの場を離れるべきでしょう』
「未だ目的地が定まってないけど、この場を離れることは賛成……え?」
呼吸が落ち着いてきて、どこへ向かおうかと考えを巡らした際、私は炎や戦闘に隠れていた小さな音に気付いた。カチッ、カチッ、と固形物を叩く音……その音は不定期なリズムで鳴っており、瓦礫で覆われたジムの奥から聞こえてきた。
「月下美人の力で内部か
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