生存のエスケープ
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して、それは私の姿が露見することを意味する。
『ゲコッ!? オマエは!』
「あ……!」
見つかった! 見つかった!! 見つかった!!!
機械竜が首をもたげてこちらを眼中に入れたことで、脳内でアラート音が鳴り響く。機械竜の影になってさっきの魔法を撃った魔導師の姿は見えないが、機械竜は私に向けて大きく顎を開いた。
『まさかこんな近くにいたとは、このオレも驚いたが、それなら―――!』
迫る巨大な顎、口の中に見える深い闇……終わりがすぐ眼前に近づいてきた。脳裏に先程殺人光線が街を薙ぎ払った光景が浮かび、咄嗟に背を向けて走り出した私だが、マリアージュから逃げきれた私でも、今からではもう間に合わないと察した。
間に合わない、手遅れ、時間切れ……あと数瞬で終わるというのに足掻くことなど無意味。絶望を抱く暇すらない、ほんの瞬きとも言えるこの瞬間に、私は……それでも走り続けた。
間に合わなくてもいい、無意味でもいい、とにかく一瞬でも死を先延ばしにしたかった……いや、しなければならなかった。なぜなら私の命は、サバタさんに繋いでもらったものだから。
だから……ここじゃ終わらない! こんな形じゃ終われない!! これでは終わり切れない!!!
「ああ、終わらせない」
―――ズガァァンッ!!!
背後から重量のある物体と物体が激突した轟音が生じた。振り返ると、私のすぐ目の前にはレンチメイスを持ち、奇妙な首輪をつけたアッシュグレーの髪の少年と、彼の攻撃によって頭部を一部破砕された機械竜が砂の中に顔を突っ込んでプスプスと黒煙を上げていた。
どうやら、この少年が私を助けてくれたらしい。ただ、あんな巨大な機械竜をぶっ飛ばせた辺り、例え魔導師だとしても力が人間離れしてる気もするが。
「あ、ありがとう……」
「別に。……約束があるから」
「約束?」
彼には私の知らない大事な約束があることを匂わせた直後、ガクガクしながら起き上がった機械竜は変な風に凹んで不細工になった頭部を向け、
『オマエェェェエエエエエッッッ!!! 塵屑風情が機械王のオレにたてつきやがってぇぇぇ!!!』
中の人が怒りの声を上げた。その雄叫びは凄まじい声量で広がり、機械竜の兵器群と交戦中の魔導師もその気迫に一瞬圧倒されていた。
『こんなデカい凹み、修理するの大変なんだぞ! 修理費払えよチクショウがぁああああ!!!』
「ねえ、コイツ何言ってるの?」
「いや私に訊かれても……」
『そもそもあっちから襲ってきてるのに修理費請求するとか、普通に変ですよね。色んな意味で』
少年も私もイクスも全員戸惑う。というか、中の人がわざわざ修理してるんだ、この機械竜。まぁ、中
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