生存のエスケープ
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ったのがフラグだったのか、ベンチの背もたれに寄りかかった私は巨大な影が空を横切るのを目の当たりにした。
「キュキュキュキュキュッ!! ホッグのマヌケめ、こんな所まで逃げられてるじゃん」
私の前に降り立ったそいつは、外側が藍色で内側が緑色の翼に巨大な口を持つ怪鳥だった。慌てて警戒態勢になるも背筋に冷や汗が流れ出す私を前に、怪鳥は余裕そうに語りかけてきた。
「やぁ、こんばんは。ボクは死の翼フレスベルグ、よろしくね」
「全然よろしくしたくない……。というか、さっきのニーズホッグといいフレスベルグといい、あなた達はもしかしてジャンゴさんが昔倒したイモータル……? どうして復活してるの……!?」
「キェキェキェキェキェッ!! そんなことを知ってどうしようというんだい? でも、ディナー前のおしゃべりなら、退屈しのぎに少しだけ付き合ってあげるよ」
「……」
「ボク達が復活したのは、回収されていた断片に改めて暗黒物質を注がれたからなんだ。経緯としてはロキが復活させたラタトスクとほとんど同じなんだけど、ボク達は以前と同じ状態で蘇ってはいないよ」
「?」
「簡単に言うと、ボク達を復活させた奴に、体をちょっといじられたんだよね」
「つまり……イモータルがイモータルに人体実験、というか改造されたと?」
「そういうこと。おかげで前より力を増したからボクはあまり気にしてないんだけど、ホッグの奴は改造する側が改造されるのは開発者として屈辱の極みだとか言って、なんかすごく気に入らなかったみたいで、あんな風に苛立って八つ当たりしてるんだよね」
「や、八つ当たりであんなことを……!? この襲撃で一体どれだけの被害が出たと思ってるの!?」
「知ったことじゃないね。ボクは美味い食事の機会が増えて嬉しいし、ホッグの奴も襲撃の度にデータ収集して鉄の軍団を強化できるとか言ってたし。だって魔導師はボクにとっては極上のディナー、ホッグにとっては丁度いい実験動物。そう、キミ達が抗えば抗うほど、ボク達はより強くなれるんだよ」
な、なんてこと……そうだとしたら、あそこで家族や友人、故郷を守って戦ってる人達の抵抗は無駄ってことに……、
「やー!」
「……フーちゃん?」
「やー! だー!!」
……ああ、そうだ。彼らの抵抗は無駄にはなってない。だってあの人達が頑張らなきゃ、フーちゃんの母親のような犠牲や被害はもっと増えていた。確かに敵の力は増やしてしまってるかもしれない……けど、抵抗しなかったせいで犠牲が増えたらもっと意味が無い。彼らの戦いには、ちゃんと意味があったんだ。
「おしゃべりはここまでにしといて、ホッグから逃げてるところを悪いんだけど、少しだけボクのつまみ食いにつき合ってくれないかな? あぁ、料理
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