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リリなのinボクらの太陽サーガ
生存のエスケープ
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目が覚めると、知らない天井……ではなく、夕焼け空が広がっていた。身体も脱出ポッドの中に横たわっていただけで、特に異常は見られなかった。あるとすればそれは……、

『あぁ、目が覚めたんですね。良かった……』

精神世界で慌てふためくイクスがいたことぐらいか。どうやらそれなりに長い時間、意識を失っていたらしい。

「心配させたかな……ごめんね」

『全くですよ。いきなり盟友に倒れられたら、いくら私でも狼狽します。まぁ、溺死寸前だったことを考えれば、気を失うのも仕方ないと言えますけど』

「なんにせよ、死ななかっただけマシでしょ。それより……いつ陸地にたどり着いたの?」

『ほんの数分前ですよ。ある意味良いタイミングで目を覚ましたとも言えますね』

気を失っている間に漂着したのか、脱出ポッドはどこかの海岸に流れ着いていた。亀裂によって水浸しで壊れたポッドの中にいつまでもいる意味は無いため、私は足元がふらつきながらも万感の思いで砂浜に上がった。

「あぁ、陸地って素晴らしい。足元がゆらゆら揺れないのは最高だぁ……」

『やけに感動してますね。そこまで酔いが辛かったのですか……』

「乗り物酔いの体質じゃない人にはわかりづらいものだよ、この辛さは。……さて、まずは夕飯を作って腹ごしらえをしよう。と言っても持ってきた食料は海水に濡れたせいでほとんどダメになっちゃったから、質素な奴しかできないんだけどね」

『塩漬けになった乾パンや果実は流石に食べる気にならないですよね。絶対マズいでしょうし、この状態だと味覚も共有しているので出来れば美味しくないものは避けてください』

「はいはい。調味料は無事だったし、干し肉も海水を落として味付けを調整すれば普通に食べられるものになるよ。ちょっと待ってて、今用意するから」

砂浜に落ちている乾いた流木を適当に集めた私は、持ち物の中からライターを取り出して着火。水筒で海水を落とし、コショウで改めて味を調えた干し肉を香草で包み、小さなたき火に当てることで熱を通していく。

「そろそろいいかな……」

程よく火が通って肉汁が滴ってきた干し肉をたき火から離し、香草を解いて熱々のソレを頂いた。コショウだけでも美味しいけど、香草の中で焼いたことで肉と香草の風味が増し、豪快でありながら品のある味となっていた。

『久しぶりに味を感じましたが、美味しい食事とはかけがえのない大切なものだと改めて認識しました。もっと……もっと感じさせてください!』

「言い方がなんかアレだけど、まあ美味しいなら良かったよ。でも個人的には、もっとちゃんとした料理が作りたかった」

『シャロンの料理はこれよりもっと美味しいのですか?』

「まあ、食べてくれた人に美味しいと言わせる自信はあるよ」


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