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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
SAO編ーアインクラッドー
12.弱さを乗り越えて
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でシュウを信じることができる。自分ですら信じることができないこんな最低な人間を。
「それでも君が生きてる意味なんてこの世界にないと思うなら……」
少女は大きく深呼吸をしてから笑顔で口を開いた。
「現実に帰ってから意味を探せばいいんだよ」
バキバキ、と音を立てて壊れていく。それが何かもうわかっていた。シュウが閉じ込めていた記憶の数々だ。
彼女の言葉でそれらが次々と蘇ってくる。どれも最悪で、最低なものばかりだ。人の命が消える瞬間、恐怖に歪む表情、それを躊躇なく奪っていく《死神》。どれもこれも嫌な思い出だ。
だが、その中には名も知らないプレイヤーたちの感謝の言葉や笑顔もあった。それすらもシュウは忘れていた。
「それにこの世界でやることがないと思うなら……君がこの世界を救う英雄になればいいんだよ!」
その言葉にシュウは自然と涙が溢れてくる。
懐かしい響きの言葉。なれるはずがないのに少女がシュウに託した言葉。それだけが支えになっていた。なんで、なんでそんな大事なことを忘れてしまっていたのだろうか。
シュウがこの世界を生きているわけ、生き残らなければいけないわけ。
彼女との約束を果たすためにシュウはこの世界を生き残らなければいけない。
「……ありがとう」
「え……?」
「君のおかげで大切なことを思い出すことができた。また立ち上がることができた」
全てを思い出せた。
辛かったことも、悲しかったことも、楽しかったことも、何もかもを。そのほとんどが罪でしかない。いくら償ったところでつぐないきれないほどの罪だ。
だから、シュウはもう正義ではない。しかし悪にも染まりきれない半端者。
そんな半端者だからこそたった一つを選ぶ。
最低だろうと最悪だろうともう関係ない。
あの言葉があったからあの時、立ち上がることができた。君の言葉があったから今、立ち上がることができた。
「いい顔になったね」
少女は笑顔をこちらに向ける。
「ああ、やらなきゃいけないことがわかったからな。君のおかげだよ」
わずかに頬を紅潮させながら少女は、
「少しは力になれたかな?」
「ああ、十分すぎるくらいにな」
「それは良かった」
再び笑顔を浮かべる。
すると少女は何かを思い出したように「あ!」といったと思うとこちらの顔を覗き込んで、
「そういえば、まだ名乗ってなかったね」
少女は数回の咳払いをしたのちに改まって自己紹介をする。
「私は、フィリアって言います。よろしくね」
手を差し伸べる。
「俺はシュウだ。こちらこそよろしくな、フィリア」
その手を強く握る。
フィリア。シュウに生きるための道を示してくれた少女の
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