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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
SAO編ーアインクラッドー
12.弱さを乗り越えて
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ていない。
 いや、どこで会ったかはわからないがどの時期に会ったかはおおよそでわかる。シュウが最も忘れようとしていた過去。そして都合のいいように忘れてしまったあの記憶。
 あの頃を思い出すと心が壊れそうになる。
 だからこそシュウはあの頃の記憶を奥深くへと閉じ込めた。

「俺には……君の生きる理由になるような資格なんてない」

「そんなことないよ。だってあの時君は……」

「それはたまたまだよ」

 少女の言葉を遮って小さく呟いた。

「たまたま、そこにレッドプレイヤーがいたからそいつらを殺すために俺は君の前に現れた。君を助けたのはついででしかないよ」

 そのはずだ。あの頃のシュウならば確実にそんな考えで動いたはずだ。記憶にはないけれど自分のことだ。自分が一番よくわかっている。
 そんな言葉を浴びせても少女は笑みを浮かべて、

「それでもいいよ。君が助けてくれたことには代わりはないよ」

 その笑顔を見ていると心が痛くなる。今までの否定してきたはずのあの頃の自分が肯定されているのようで。だが、あれを肯定してはならない。
 シュウの中の何かが壊れていく音がする。

「あんたを見てると自分が嫌になる。こんなに弱いくせに、誰一人守れないくせに……人の命だけは平気で奪っていく自分が……」

 そんな言葉にも少女は、ただ笑顔で頷くだけだ。それを見ていると今までの抑え込んでいたものを全部吐き出したくなる。

「俺だってこんなことしたくなかった! みんなを守ろうと、弱い自分を強くするために必死だったんだよ! それなのにあいつらは、あのクズ共は、平気で大切な人たちを奪っていきやがった!」

 感情が爆発して抑えられない。

「その時に俺の中の恐怖があいつらへの殺意に変わった」

 それが全ての始まりだった。
 恐怖など感じることもなく。死んだら死んだだと考えていたあの頃のシュウは狂っている以外の何者でもなかった。それでも恐怖心がなかったわけではない。あるにもかかわらず命がけの殺し合いをしていた。

「そんな自分が嫌で嫌で仕方ない。それなのにそんな俺のことを見捨てなかったあいつらとの約束も守れずに俺はまた……」

 自然と目からは涙が溢れてくる。
 いろんな感情が混ざり合ってもはやグチャグチャなっていく。

「そんなどうしようもないくらいのクズで、クソみたいな俺なんて……もう、生きている意味なんてない……」

「そんなこと言わないでよ!」

 少女はシュウの言葉を遮った。強くシュウの手を握りしめると先ほどとは違う優しい声で少女は、

「君がどれだけ自分のことを責めたって自分のことを嫌いになっても私は、君を信じるよ」

 また何かが壊れる音が聞こえる。
 なぜこの少女は、ここま
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