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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
SAO編ーアインクラッドー
12.弱さを乗り越えて
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、思い出す事ができない。
「……誰?」
一言だけそう告げると少女は、驚いた表情をするとシュウがいた机に両手を叩きつけるようにおいてこちらに身を乗り出す。
「えぇ! 覚えてないの? あっ、でもそうだよね。あの時、私名乗らなかったしね。それに君もあの時とは少し雰囲気も違うみたいだね」
あの時?
そんな記憶はシュウにはない。いや、ただ、忘れているというだけなのかもしれないが、もはやどうでもいい事だ。
シュウは机から立ち上がって店を後にしようとすると少女は「ちょっと待って!」っと腕を掴まれる。
「……何? なんか用なの?」
シュウのあまりの態度に少女は怯えたような表情をしている。
それでいいんだ。シュウに関わってもいいことなんて何もない。今までだってそうだ。《死神》に関われば、ただ死期を近づけるだけだ。
だから、《死神》は人知れずこの世界から消えるのがいい。
シュウは、掴まれた腕を振り払う。そしてそのまま、店を出ようとすると「待って!」という少女の声とともに再び、腕を掴まれる。
「何かあったの?」
「君には関係のないことだ」
そう言って振り払おうとするが腕を握る手が強くなる。
「そんなわけない。君はそんな人じゃない」
「……お前に俺の何がわかるってんだよォ」
「えっ……」
「何もしらねェくせに善人気取りかよ! しらねェならしらねェらしく関わってもくんじゃねェよ!」
店内にシュウの怒声が響いた。
それでも、
「だったら聞かせてよ! 君に何があったのか! 私に話してよ!」
少女は一歩も引こうとはしない。
そこでシュウは初めてしっかりと少女の表情を確認した。その瞳には涙を浮かべていた。
「何でそこまで俺を……」
「だって私は君に助けてもらった」
「それだけでか。俺は覚えてないのにか?」
少女は大きく、何度も頷く。
「君が覚えてなくても私は覚えてる。恐怖で何もできなかった。もう死んじゃうんじゃないかって思ってた。そんな時に君は私に手を差し伸べてくれた」
シュウは何も答えず少女の言葉を聞く。
「大丈夫だって言ってくれた。それが私に嬉しかった。あの時、いや、今でも君がいてくれたから私はこうして生きようと思えたんだよ」
少女は震えながらも懸命に言葉を紡いでいく。
「だから、お節介って言われてもいい。君が困っているなら少しでも、ほんの少しでもいいから力になりたいんだよ!」
店内に少女の声が反響する。
「最低だな……俺って」
この少女にここまでの重みを背負わせた。
シュウというレッドプレイヤーにここまでの信頼を抱かせてしまった。それなのに、シュウはそのことを一切覚え
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