昔の兄と今の兄
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ただいま。」
「あら、美琴ちゃん!」
今日は休みだと聞いていたため、寮官に「実家に帰る」と連絡してから来たのだ。
「どうしたの?急に帰ってきて。」
「これを渡そうと思って。」
私は預かった物を差し出した。
「これ……美琴ちゃん、これ誰から……。」
「湊から。」
「会ったの!?」
ママは私の肩を掴んで話してきた。
「ママ痛いわよ……ちゃんと話すから。」
そうして、私は全てを話した。
公園で兄に会った、そして少しだけ話をしてそれを預かった。
そして、お兄ちゃんとは呼ばないと宣言したことも。
「そう……。」
「怒らないの……?」
「私が怒れる内容じゃないもの、でもね。」
ママは私に真剣な顔で言った。
「今見えてることが事実であって真実じゃないわ。疑いなさい、自分が見ている目の前の光景が本物かどうかを。」
「え……?」
「でも元気そうで良かったわ、みなくん。」
「?」
ママは湊から私が預かった物を眺めながら微笑んだ。
「ねぇ、それって中身なんなの?」
「これ?」
「そう、それ。」
私はママが持っている物を指さしながら言った。
「ふふ、見てみる?」
そう言ってママは開けた。
「……ネックレス?」
「そう、毎年この日に送ってくれるのよ。今回は美琴ちゃんに渡したみたいだけどね。」
「何で今日?」
ママがカレンダーを指さしたため私はカレンダーを見た。
「あ……今日って。」
「みなくんが出ていった日よ。」
──でも、どうして?
ママは私の考えがわかったのか、話した。
「最初の手紙に、『自分を今まで育ててくれたお礼を毎年送るね。』って書いてあったわ。」
「ふーん……。」
──まさか、本当に変わってない……?
その後ママと久しぶりに夕食を食べ、自室のベットで横になっていた。
「お兄ちゃん……湊は変わってないって事?」
私は「うーん…」と唸りながらゴロゴロしていた。
──それでも、もう後戻り出来ないわ。
「私はアンタに勝つ、そして人を殺した事を分からせるんだから……。」
私はそのまま眠りについた。
湊と次にあったのは1年後の中2の夏だった。
鉄橋の上で、不良に絡まれた私を救ったあの時。
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