昔の兄と今の兄
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ちゃんは長点上機学園よね?」
「あぁ。」
再び沈黙が訪れた。
私は先ほどの飲み物を飲む。
「あ、そうだ。」とお兄ちゃんが言うと、ポケットをガサガサと漁り始めた。
──どうしたんだろ……?
そんな事を考えていると、私の前にある物を渡してきた。
「これ、母さんに渡しといてくれる?」
「なによ、これ?」
「母さんの物。」
「自分で渡したらいいじゃない。」
お兄ちゃんは顔を伏せて私の手にそれを置く。
「俺は会えないから、代わりに頼む。」
「何よそれ、意味わか……」
お兄ちゃんはいきなり立ち上がり、座っている私に振り返った。
「それとlevel5第3位『超電磁砲』になったみたいだね、おめでとう。」
「ありがと……。」
「それじゃあ、俺はもう行くよ。」
お兄ちゃんは缶をゴミ箱に捨ててから歩き始めた。
──あ……やっと会えたのにまた……。
私は立ち上がり、お兄ちゃんの制服の袖を引っ張って止めた。
「待って……。」
「どうした?」
私は深呼吸してからゆっくりと聞いた。
「どうして、私から私達から無言で消えたの?」
2年間ずっと聞きたかった事。
それを思い切って聞いてみた。
だが、答えは予想外な事だった。
「……お前には関係無いだろ。」
「え……?」
──今、お前って言われた……?しかも、関係無いですって……?
「あ……ごめん。」
お兄ちゃんは、ハッとしたのかすぐに謝ってきた。
「………そう。」
「美琴……? 」
私は袖から手を離して、ポツポツと話した。
「……もう、私の知ってるお兄ちゃんじゃないのね、良いわ……私はアンタに勝つまで"お兄ちゃん"とは呼ばない、"湊"って呼ぶ。」
「……!?」
「変わっちゃったんだね、お兄ちゃん。」
お兄ちゃんは顔を伏せてから何か決めたのか真っ直ぐに私を見てきた。
「分かった、じゃあ俺は───────。」
「え……?」
──今、なんて……
「それが今の俺に出来る事だ。」
そう言って笑顔で歩いていった。
私はベンチに倒れるように座った。
『分かった、じゃあ俺は"美琴を守る。"』
──変わって……無かった……?
私はギュッとスカートの裾を握った。
「でも許さないわ、アンタは人を殺したんだから……。」
この時の私は何も知らなかった。
2年前、兄が殺さなかった自分が死んでいたこと。
そして兄が離れたのは自分のためだったことも。
あの後、私は家に帰った。
何故なら湊から預かった物をママに渡すため。
「
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