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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第63話 二妻多夫? 三妻多夫?
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も全員が同じ種族だった様だ。群をなしてゆかりに襲い掛かっていた。


「きゃああ!! こっ このぉ!!」

 ゆかりも黙ってやられる訳にはいかない、と魔具であるステッキを振りかざす。魔法を発動させて攻撃をしようとしたが、大きな鰐の様な口でそのステッキ事噛み砕かれてしまった。


「さて、こいつ……どうしてやりましょうか?」
「食べちゃおう! 霧も深いし誰にもバレないって……。それに魔女なんて消えた方が暮らすの為になりますよ」


 仲間達もどんどん近付いてきた。
 多勢に無勢になってしまった上に、ゆかりの唯一の武器を失ってしまったのだ。

「ああ…… ステッキが… (わたし…… ステッキがないと魔法使えないのに……)」

 そう、魔法を発動させるのには媒体が必要であり、それが無ければ、攻撃手段が無くなってしまうという事だ。魔女は人間にも近いと言われている理由の1つに、その身体自体の強さが一般妖に比べて華奢であるという事にもあるのだ。
 ただの一撃でも致命傷になりゆる為、ゆかりにとって今は最悪だと言える。
 

 そして、その次の瞬間 しびれを切らした委員長が大きな口を開け迫ってきた。


「そうですねーー!! 食べてしまうのも良いですねぇ!!!!」
「きゃあああああ!」

 抗う術が無いゆかりは、悲鳴を上げるしか出来なかった。


――泣き喚いても、止めてくれる訳ない。
――悲鳴を上げても……無駄。
――助けを請うても……誰もしてくれない。


 それなのに……、ずっとそう思い続けていたのに。


「やめて!!!」


 後ろから誰かの声が聞えた。
『やめて』と確かにそう聞こえてきた。

 それは、今までに一度たりとも無かった自分を助けてくれる声だった。

 この声の主が誰なのか、直ぐに判った。

「(………も、モカさん!?)」

 先程、厳密には違うが、迷惑をかけているんだと思わされたモカだった。
 モカはそのまま委員長に向かっていく。

「やめて……! ゆかりちゃんから手を放して!!」

 鋭い目で睨んでくるモカを見て、委員長は忌々しそうに舌打ちをした。

「またあなたですか、赤夜萌香さん、これは少々面倒な所を見られましたね」

 そして指を鳴らすと、それが合図だった様で、取り巻きの仲間達がモカの方へと向かっていった。
 モカに迫る連中を見たゆかりは慌てて、叫んだ。

「逃げてっ! モカさん逃げてくださいっ!! 食べられちゃうっ! わたしなんて放って逃げてェ!!!」

 必死にそう叫ぶ。自分の為に立ちはだかってくれるモカに、驚きを隠せられなかったが、それでも自分のせいで モカまで死んでしまう事だけは我慢が出来なかった。

 
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