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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
外伝
外伝『魔弾と聖剣〜竜具を介して心に問う』―終章
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の者たちだった。

――アスヴァールに語られる悪鬼−フクロの白鬼――
――ジスタートに奉られる災禍−ホウキの老婆――
――ムオジネルに伝わりし妖魔―ランプの魔人――

この目で拝めるとは思っていなかった。

「信じられない……」一同の姫君はそう呟く。

ただ、何に対して信じられないといったのか、それとも、多くの意味でつぶやいたかもしれない――はっきりしているのは、戦姫の疑問に答えるゆとりは、誰一人としていなかった……ということだ。
一瞬、戦姫達の脳裏に言葉がよぎる――見通しが甘かった――と。
予定外。想定外。それさえも見下した、指揮官としての痛恨事。
この速度規制の策、もしかしたら読まれていたのかもしれない。初めから敵は戦姫を戦線に立たせて『釣り上げる』ことが目的だった。敵が少数精鋭という、印象への安堵と不安をうまく逆手に取られた。敵の攻勢に切れ目がない今、撤退もかなわない。ほぼ完全な『足止め』を食らう。
黒船は、強靭な鋼鉄をまとう代償として、その運動性を大きく損ねてしまう。風の影響を受けず自在に進路をとれ、蒸気を炊いた速度こそすさまじいものの、一度止まってしまったら、速度を上げるにも時間をかけてしまう。
もしかしたら、この船の破棄を兼ねて――いや、今は戦いに集中すべきだ!
このような悪魔が味方本船へ一匹でも飛び込んでしまったら、混乱は避けられない。
この浮足立った空気に危機感を抱いたのは、トルバラン達を追撃中、横目で見はったヴィッサリオンだった。

(あれは……いけない!悪魔が悪魔を生み出したあの契約は――ただの悪魔契約じゃないぞ!)

二重契約によって生まれた『次世代型悪魔−セカンドステージ』の霊体濃度の含有率は、初期段階で生み出された悪魔の比ではない。おそらく、通常の竜技では通用しないだろう。奴らは『自然の理』から外れているのだから、自然の力学体系たる竜技(ヴェーダ)では、かすり傷一つ負わせることもかなわない。


天地撃ち崩す灼砕の爪(グロン・ラズルガ)!」

先手の『爪』を放ったのは、ルヴーシュの主だ。
竜の『牙』たる雷禍の鞭――ヴァリツアイフ――
竜の『粧』たる闇夜斬り払う刹那の牙――ノーテ・ルビート――
竜の『尾』たる雷刃――メルニテーー
そして、放ったのは最強の竜の『爪』たる天地撃ち崩す灼砕の爪――グロン・ラズルガ――だ。
九頭竜の雷牙――それぞれが『一撃必殺』の威力を秘めており、本来なら竜であろうと文字通り『砕』く……はずだった。
悪魔という目標物に到達した『竜技−ヴェーダ』は、見えざる壁に衝突したかのように、甲高い音を立てて消滅した。

「な!?」

一瞬、驚愕の色が浮かび上がる。ヴィッサリオンは思った。

(だめだ!『並列』の雷撃じゃ、本当の『天地打ち崩す爪
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