外伝
外伝『魔弾と聖剣〜竜具を介して心に問う』―終章
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シュの戦姫に伝えてほしい!――レグニーツアは猫の手を借りたい――と!」※2
猫の手を借りたい。その言葉に意味はよく分からなかったが、戦姫が我等に依頼したことは確実にこなして見せる。意気込んで二人は旗艦に戻る。
冷静になって考えれば、長く語らずとも戦姫の意図は読めてくる。ジスタート軍船最速を誇るこの『甲冑魚号―ダスパリーバ』でなければ成しえない任務。
「――戦姫様……御武運を!」
煌炎の戦姫は何を言わず、コクリとうなずいただけだった。だが、彼女の見せた背中からは、確実に年若い部下へ伝わったはずだ。『ありがとう』と――それは、長年培った信頼関係がなせる一つの形だった。
そして、目の前の現実を見据える。
(作戦変更せざるを得ないか……それにしても……)
船の熱気が決して冷めぬ戦場。『初めて』みる『魔』を目にして、戦姫は思わず固唾をのむ。
(初めて見るな……『魔』というのを――)
誤算……ではないか。
足止めを喰らうこと自体は想定外だったが、決して予想外だったわけではない。そして、目の前の敵はおそらく難敵であって、強敵ではないはずだ。
負けられない。煌炎の王たる『太陽』が天上より差し込めて、煌炎の姫君のまなざしに訴える。「おまえが照らす『使命』は何時なのか」と――
――先代の戦姫殿……純然たる『魔』と対峙した時……あなたは何を思った?
戦姫に選ばれたとき……何を思って……この『討鬼の双刃』を受け取った?
『必然』でなく、『偶然』で選ばれて……何をなすために?※3
目前で激変する状況――切り捨ててきた敵たる『人』がいなくなり、その目を疑わせる。
自分が『討つべき』だった『二つの牙』は、黒船のヒトか、それとも目前の魔か?果たしてどちらの『敵』なのか?
「――――くっ!」
悪魔たる敵への衝動に身を任せ、『刃の舞姫−コルティーサ』はバルグレンを駆りたてた。
◇◇◇◇◇
「そこの船壁は予備の木板で塞いどけ!」
「もう補修材はありませんよ!」
「だったら代わりにお札でも張っておけ!当たらないように願いを込めてな!」
軍船最速を誇る甲冑魚号の船では、突貫補修が進められていた。もともと長時間交戦を想定していない船では、激しい損傷に耐えられない。敵の急所を突くべき『戦姫専用旗艦』が、敵に急所を突かれて戻ってきたとなれば、笑い話にもならない。
マドウェイとパーヴェルがルヴーシュ指揮官へ急行する前、黒船の阿鼻叫喚な『柱』は、雷禍の戦姫にも目視できていた。雲霞のごとく群がる黒き光景は、ことの異常さを物語っている。
やがて二人が駆けつけて、速報を受けた戦姫は迅雷のごとく行動を開始した。
「ご苦労様でした」そうねぎらいの言葉をかけると、自らの『
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