外伝
外伝『魔弾と聖剣〜竜具を介して心に問う』―終章
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りを込めて、二つの刀身を構える。
もし、『小さな粒をぶつけ合って連鎖反応させる』ものだとすれば……何としてもここを押し通らなければならない。
「ちっ!流星はガラじゃねぇっていうのに!」※9
軽く毒づいたあと、目の前の魔人と相対する。
急がなければ!
なんとかして、『黒船』と『黒竜』の連中に、このことを知らせなければ!
――全てが手遅れになる前に!――
『数年前・ジスタート王国・王都シレジア・謁見の間』
黒船の戦闘は割愛する。
結果だけ言えば、ジスタートの勝利だった。ただ、勝利といえるものかはわからない。
ガヌロンと交戦中、ついに奥底へたどり着いたヴィッサリオンは、その『魔弾』と対峙した。
半径10ベルスタは溶解するかもしれない――そうとらえたヴィッサリオンは、弾かれた矢のように黒船を飛び出し、戦姫に呼び掛けた。必死の形相で。それだけじゃない。アリファールの発する風を大気振動変換に見立て、避難勧告を促した。
そして全軍は撤退した。戦姫に命ぜられるまでもなく、特に漕ぎ手は死に物狂いで櫂を漕いでいた。
じりじりと背後から迫る死神の光刃。触れた光景からちり芥に帰る魔の海峡。
敵味方が『海の大壺』に飲み込まれる阿鼻叫喚図の中、かろうじて生還できたのだ。
そして、海に接する3公国における滅亡の渦中から3人の戦姫を救い、当時のジスタート王から救国の英雄として挙げられたとき、彼の名声は頂点を極めたかに思われた。
「そなたこそ真の勇者。我が国の貴重な戦姫を救った功績は大きい。領土を――」
当時の王はヴィクトール=アルトール=ヴォルク=エステス=ツァー=ジスタート。まだしわがれた手を持たず、金髪もまだ色が抜け落ちていない若かりし頃、黒竜の代理たる現代の王はそう告げた。ヴィッサリオンへの賞与として領土を与えようと。金を盛り、それも大きく『盛大』にと――
しかし、ヴィッサリオンは首を横に振った。傭兵らしい細傷の顔立ちにも関わらず、そよ風を思わせる表情で――
「いいえ、私の治める領土……『国』があるのなら、それは、わたし自身で探したいのです。『――』によってではなく、この手で」
……?今は何といったのか?
今世代でのアリファールの主は、不在のはず。
その時、中でのヴィッサリオンの告白は、興奮を衝撃に変え与えたのである。
布に巻かれた、彼の腰に携えし降魔の斬輝を解き放つ。ライトメリッツ公国の国宝。銀の翼を模した柄の中の『紅玉』を、王にだけ見えるよう差し出して――
――そ……それは……まさかアリファール?――
「すまぬが、皆は下がってもらえぬか?しばらくヴィッサリオンと二人きりで話がしたい」
動揺を隠せない王の態度を、訝し気に見る者は少
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