外伝
外伝『魔弾と聖剣〜竜具を介して心に問う』―終章
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…まさか!俺が『降り立った』甲板は、艦橋だというのかよ!?」
「その通りだ。ヴィッサリオン」
「誰だ!?」
鋭い視線と語気を伴って、背後を振り返る。声がしたほうを見てみると、そこには『小人』がいた。
禿頭で醜悪で小人……得体のしれない瘴気が彼をくるんでいる。そもそも、なぜ俺の名前を知っているのか?どこかで会ったことがあるのか?
「初にお目にかかる。私はマクシミリアン=ベンヌッサ=ガヌロンと名乗るものだ。先ほどは『魔物』どもが大変失礼を働いたようだ。その『詫び』として、わが『力』で応えたい。いかがかな?」
「……ガヌロン?」
ガヌロン……その名だけは、虚影の幻姫から聞いたことがあった。
代々ブリューヌ王国の神官を務める法務家系の者。同国のテナルディエ家とは政敵として対立状態にあると――
そもそも、なぜこのようなところにいるのか?
ヴィッサリオンはかすかな疑念を払うように、頭をぶんぶん横に振る。
「せっかくのお誘いだが、今は貴方に付き合っている時間がない――」
ひょうひょうとした態度で、そして緊張を緩めないヴィッサリオンの声色。対する小さな魔人は、まるでおびえる子供をあやすような口調で彼に語り掛けていた。
「……機械仕掛けの最強の『魔弾』を知りたくはないのか?」
その言葉が、彼を突き動かすに事足りた。しかし、『機械仕掛けの最強の魔弾』という言葉が、彼を失念に墜落させた。今、やることが多い――多いはずなのに。
――今、この場を逃したら、すべてが取り返しがつかないような気がして――
「『魔弾』とは、ある『力学』を指す……俺が最も嫌いな言葉だ」
それは、聖剣の刀鍛冶が最も忌むべき言葉が『王』であるように――
黒髪の傭兵もまた、最も忌み嫌う言葉は『魔弾』だった――
「……アリファール!」
静かに、その刀身を抜き放つ。
それは、翼を模した美しい鍔形。
それは、照り映る『鏡』のごとき側刃。
それは、燃え上がるような『珠』の装飾。
なぜ、戦姫ではないのか――
どうして、俺のところへ来たのだ?
その問いを見出すかのように、『銀閃』は姿を披露した。
披露したのは、『聖剣』とて同じだった。
「そこを通してもらうぜ!黒船に隠された『魔弾』を暴くために!」
「やっと『その気』になったか。『流星』よ」
対するガヌロンも、右手に『破壊の瘴気』を練り合わせている。赤い色が放たれる。
「│剣星の勇者……少しの間遊んでやろうではないか」
かつて、ヤーファには『右手に刀』『左手に剣』を携えた伝説の剣豪『武蔵』が存在していた。※7
そして今、ヴィッサリオンの右手には聖剣の刀。左手には竜具のアリファール。
――間違いであればいいが!そう祈
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